暁 〜小説投稿サイト〜
馬鹿息子
第三章
[2/2]

[8]前話 [9] 最初

「お前がなってもいいから行くって言うのなら止めなかった」
 父はこれまた強い声で話した。
「しかしそこで思い止まって行かないならな」
「それならか」
「それでいい、もうな」
「ああ、吉原には行かないさ」
 亀吉は確かな声で話した。
「女房と一緒にな」
「暮らしていくか」
「そうするな」
「ならそうしろ」
「それで店の仕事やっていくな」
 亀吉は真面目な声で言った、そして実際にだった。
 彼は二度と吉原には行かなかった。それは彼の仲間達も同じだった。だが毎年だった。
 和太の命日には彼の墓に皆で参った、そうしてだった。
 亀吉は手を合わせてから仲間達に話した。
「いい人だったな」
「全くだ」
「だからこそ残念だ」
「余計にな」
 仲間達も言った、瘡毒になった彼のことを思って。


馬鹿息子   完


            2022・4・18
[8]前話 [9] 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ