第二章
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「どうしたんだろうな」
「最近まで元気だったってのにな」
「一体どうしたんだ」
「病気か?」
亀吉は仲間達に饅頭を出してそれを食べつつ言った。
「まさか」
「そうかもな」
「ちょっと気になるな」
「何もなかったらいいけどな」
「ちょっと行ってみるか」
亀吉は彼が心配になって考えて言った。
「そうするか」
「そうだな、行ってみるか」
「俺達も兄貴に世話になってるしな」
「それじゃあな」
「俺は兄貴に遊びを教えてもらったんだ」
亀吉は着物の袖の中で腕を組んで言った。
「その恩義があるしな」
「俺もだ」
「俺もだよ」
「何を隠そう俺もだ」
仲間達も口々に言った。
「それじゃあな」
「ちょっと見舞いに行くか」
「兄貴のとこにな」
「そうするか」
「ああ、酒と女特に女を教えてもらった恩だ」
亀吉はこう言ってだった。
そのうえで仲間達と共に和太の家である日本橋のある大店に行った、彼はそこの四男で亀吉達に酒も女も教えた遊び人で吉原で知らぬ者はないまでだった。
その彼の店に行くとだった。
店の若旦那である彼の長兄大柄で太い眉を持つ彼が出て来て応えてきた。
「あいつに会いたいのか」
「ええ、世話になってきましたので」
亀吉が一同を代表して答えた。
「それで、です。病気ならお見舞いに」
「羊羹か」
「兄貴が好きなんで」
それでというのだ。
「持ってきました」
「そうか、じゃああいつのところに案内するが」
若旦那は暗い顔で言った。
「何を見ても驚くんじゃないよ」
「といいますと」
「会えばわかるよ」
こう言ってだった。
若旦那は亀吉達を和太がいるところに案内した、そこは何と屋敷の庭の奥にある蔵の中でだった。
座敷牢だった、そこにだった。
和太はいたが面長で色黒で丸い小さな目を持っている彼は。
鼻がなかった、そして身体のあちこちに瘡蓋があり苦しそうに呻いていた、亀吉達は床の中で自分達がいることにも気付かず呻いている彼を見てすぐにわかった。
「瘡毒か」
「ああ、それだな」
「兄貴瘡毒にかかっていたか」
「それで最近出て来なかったか」
「実はお前さん達に出会った頃に一回床に伏していた」
彼の長兄である若旦那が言ってきた。
「そしてだ」
「今はですか」
「病が急に重くなってな」
亀吉に話した。
「そうしてな」
「鼻が落ちてですか」
「身体中にああして瘡が出来てな」
そうなってというのだ。
「医者が言うには背骨もおかしくなって頭にもきてな」
「ああなったんですか」
「何でああなったかわかるだろ」
若旦那は亀吉達に問うた。
「お前さん達も」
「吉原ですか」
亀吉はすぐに自分の馴染みの場所の名前を出した。
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