第一章
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頭の柿
宮城県に伝わる話である。
かつて与太郎という男が住んでいた、この男は兎角頭が大きかった。
その頭の大きさは兎角凄くだ。
仙台に入ったばかりの伊達政宗も彼の話を聞いて実際に自分の前に連れて来させてその頭を見て驚いた。
「ううむ、これ程までとは」
「思いませんでしたか」
「噂は聞いていたがな」
政宗は与太郎に答えた。
「それでもだ」
「いや、よく言われています」
与太郎はその頭で語った、大柄だがそれでも大きい、顔立ちはかなり愛嬌がある。
「頭が大きいと」
「城の門を潜るにも苦労したと聞いているが」
「左様でした」
「そうであろう、全く以て大きなものだ」
政宗は与太郎の頭の大きさに驚くばかりだった、そして彼に幾分か銭を渡しその大きな頭を見せてもらった褒美とした。
与太郎はそのことに喜び自分の頭の大きさを喜んでいたがそんな中でだ。
ある秋に実がたわわに実った柿の木を見て一緒にいた者に言った。
「ちょっと食うか」
「食うのか」
「ああ、おめえも食うか」
「少しな、手の届く場所にあるのをな」
一緒にいる友人はこう彼に答えた。
「そうする」
「そうか。じゃあわしは木に登ってな」
「そうしてか」
「腹一杯食うぞ、この頭だからな」
あまりにも大きくてというのだ。
「それでな」
「食う量が多いんだな」
「そうしないとな」
「身体がもたないか」
「それに柿は大好きだしな」
このこともあってというのだ。
「食うぞ」
「今からか」
「ああ、木に登って好きなだけな」
こう言ってだった。
友人はその場で柿を二つ程取って食べたが与太郎は木に登ってだった。
柿の実をどんどん取って食べていった、そしてだった。
楽しんでいたが頭が大きいので少しすると揺れてだった、
落ちそうになるのでそれを見た友人は言った。
「気をつけろよ」
「ああ、頭が大きくてな」
「少ししたら揺れるな」
「そうなるからな」
与太郎は柿を食べながら自分から言った。
「だからな」
「そうだ、気をつけろよ」
「そうするな」
こう言いながら食べていった、だが。
柿をあまりにも食べるので何時しかその手に柿の汁が付いてだった。
それで手を滑らせてしまって頭から落ちてしまった、友人は木から落ちた彼を助け起こしてから言った。
「言わんこっちゃない」
「いやあ、面目ない」
「大丈夫か?」
「ああ、わしの頭は大きくてな」
与太郎は自分でも起き上がりながら話した。
「その分頑丈だからな」
「それでか」
「これ位じゃな」
「何ともないか」
「そうだ、安心してくれ」
「それならいいがな」
こうした話をしてだった。
与太郎は
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