暁 〜小説投稿サイト〜
銀河日記
士官学校入学
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
銀河帝国の帝都オーディンにも初夏が訪れ、日々、厳しさを増す傾向のある日差しが、天より大地に降り注いでいる。ここ最近は、夏らしく晴れの日が多くなる、気温の上昇に伴い、熱中症に注意されたしと帝国当局の気象局は予測を立てているそうだ。

オーディンの中心街から離れた郊外の地区にある銀河帝国軍士官学校は四七一回目となる入学式を帝国歴四七二年七月八日に敢行し、新入生三〇五五名を新たに迎え入れた。

その新入生三〇五五名の中には、アルブレヒト・ヴェンツェル・フォン・デューラーとアーダルベルト・フォン・ファーレンハイトの姿もあった。
「久しぶりだな」
「ああ」
入学式の中、再会した二人はそう言葉を交わした。TV電話で会話をするなどのことは数度あったのだが、こうして直接会うのは、一年半ほど前の葬儀以来だった。

銀河帝国軍士官学校は、ルドルフが銀河帝国の創設を宣言し、宇宙歴を廃止した帝国歴元年の八月二九日に、銀河帝国首都星オーディンの郊外に設立された。アルテバラン星系第二惑星テオリアの宇宙軍士官学校を始めとした銀河連邦時代の各士官学校を廃止し、その代わりに設立されたのである。その初代校長には、ルドルフが政界進出する前、宇宙軍少将であった時の参謀長、帝国軍大将アルター・クリストフ・フォン・ハイネ男爵が任命された。

銀河帝国軍士官学校はかつて、貴族の子弟に対してのみ、その門が開かれていた。だが、“叛乱軍”こと自由惑星同盟との戦争の長期化により、士官の絶対数の不足に対する補充や平民階級からの人材登用などを理由として、段階的に平民でも入学が可能になっていき、今に至ったのだ。帝国歴436年の第二次ティアマト会戦で戦死したフリードリヒ・ウィルヘルム・コーゼル大将、カール・レオポルド・フォン・シュリーター大将の二人は、平民の入学が可能となった二年目にこの学校の門を叩いている。

士官学校に隣接される寮には、全学年合わせて4000名を超える士官候補生が住んでいる。士官学校の財源は帝国政府の国費で賄われているため、学費は無料だ。四年間、衣食住も完備されている。家計に困っているアルブレヒトやファーレンハイトにとっては充分過ぎる待遇だった。

士官学校寮の部屋は一年生と三年生、二年生と四年生という組み合わせのペアで住むことになり、上級生が下級生の指導、監督を行うことになっている。入学式が終わり、ファーレンハイトと別れたアルブレヒトは、自分に割り当てられた部屋に向かった。電子ドアの前に立ち、ベルを鳴らし、中の人間に到着を告げる。

直ぐに「入りたまえ」という渋い声が聞こえてきた。その声に、若干聞き覚えがないわけでもなかったアルブレヒトだったが、不確定な疑念を消して中に入ることにした。

「はっ、失礼します」
アルブレヒトは部屋の中に入るとびっくりした。部屋
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ