第三章
[8]前話
「ですから」
「皆鋸引きにしたか」
「如何に権門の家といえどです」
「元服前の子供でもか」
「外道な振る舞いは許しませぬ、若しそれを許せば」
その時はというのだ。
「天下に法はありませぬ」
「意味がなくなるな」
「はい、ですから」
それ故にというのだ。
「あの者達を皆です」
「あの様にしたか」
「他にも訳があります」
板倉は家康にさらに話した。
「実は」
「それは何じゃ」
「あの者達は自分達より弱い者達虐げておりました」
「それも撮塔を組んでであるな」
「悪事を為すにも一人でせず」
そうしてというのだ。
「その数や家の権門を頼んでです」
「弱き者達を虐げておったな」
「もの乞いの様な何も出来ぬ者をいたぶりいじめ殺しました」
「実に卑しい行いであるな」
「その卑しさも許せず」
その為にというのだ。
「あの様にしました」
「皆市中引き回しのうえ鋸引きか」
「晒し首にしました」
「侍への処罰ではないな」
「民でも厳罰中の厳罰ですな」
「最も重いな」
「それだけの罪だと思ったので」
それ故にというのだ。
「それがしもです」
「そうしたな」
「それがしは間違っていたでしょうか」
「よい」
家康は板倉に微笑んで答えた。
「よい裁きであった」
「そう言って頂きますか」
「あの者達の家の者達は怒っておる者も多いが」
それでもいうのだ。
「ああした腐れ者達はな」
「それがしの様な裁きがですか」
「妥当じゃ、怒っている者にはわしが言って聞かせる」
家康自らというのだ。
「そうする」
「そうして頂けますか」
「だからこれからもしかとな」
板倉に確かな声と顔で話した。
「沙汰を出してもらいたい」
「それでは」
板倉は家康の言葉に深々と頭を下げた、下手人の親達は家康が約束通り諭して穏やかにさせた。そして板倉はそれからも政に励んだ。後に名奉行として知られる彼の一幕である。
怒りの裁き 完
2022・3・18
[8]前話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ