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怒りの裁き
第二章
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「相手は徳川様の家のお侍だ」
「それも駿府の大御所様の傍にいる方々のお子ばかりだ」
「それではどうにもならぬ」
「罪に問われる筈がない」
「乱暴狼藉も金の踏み倒しもお咎めなしだ」
「もの乞いを殺したこともな」
 こう話していた、彼等は下手人達が権門とされる家の子達ばかりということから罪に問われないと思った。
 そして当の下手人達もだった。
「我等が罪に問われるものか」
「我等の父上は大御所様のお傍におるのだぞ」
「皆代々の三河衆の家だ」
「今では幕府の要職を占めているのだぞ」
「石高も皆高い」
「その我等に何が出来る」
「誰が裁けるものか」
 牢の中で言っていた。
「早くここから出たいものだ」
「出ればすぐに遊郭だ」
「遊女を抱くぞ」
「村の娘を襲うのもいいな」
「あの生意気な豆腐屋に押し入り家を壊し娘を攫うか」 
「それとも街中で馬を走らすか」
 こうしたことを話していた、そのうえで沙汰が下る日を待った。
 沙汰が下る日彼等は沙汰は当然罪なしとなると思っていた、それでふてぶてしくその場にいたのだが。
 板倉は彼等に厳しい声で沙汰を告げた。
「これまでの罪許し難し、皆市中引き回しのうえ鋸引きとする」
「なっ、我等が罪になるのか」
「そんな馬鹿な」
「しかも切腹ですらないのか」
「鋸引きとな」
「打ち首より酷いのか」
「嘘だ」
 下手人の者達は口々に驚きの声をあげた。
「これは何かの間違いだ」
「所司代様何か仰って下さい」
「これは嘘ですね」
「大御所様の傍でお仕えしている家の我等が罪に問われるなぞ」
 彼等は板倉に食い下がった、だが。
 板倉は冷然とこう言った。
「引っ立てよ」
「何か言って下さい」
「これは間違いですね」
「我等が罪になるなぞ」
「しれも鋸引きなぞ」
 板倉は答えなかった、そうしてだった。
 下手人達は即刻都の市中を引き回され首から下を埋められたうえ鋸引きとなった、どの者も泣き叫び命乞いをしながら竹の鋸で釘をゆっくりと切られてだった。
 首を落とされた、その後で皆晒し首となった。
「何と、皆処刑か」
「それも鋸引きとは」
「こうなるとはな」
「罪になるとは」
「しかもここまで厳しいお裁きとは」
「板倉様も凄いことを為される」
「この様なことを為されるとは」
 都の者達はその首達を見て話した。
「これは思いも寄らなかった」
「全くだ」
「しかし皆性根の腐りきった悪童だった」
「処刑されてよかった」
「これで都は平和になった」
「もの乞いも浮かばれるわ」
「我等も怯えずに済む」 
 皆今回の沙汰を下した板倉に感謝した、その後でだった。
 板倉が駿府に入り徳川家康に拝謁した時家康は彼にこの沙汰のことを下した。
「何故あの
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