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鳥の嫁入り
第二章

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「そうです、これを植えると木になる」
「木になるんだ」
「橙色の甘い実が実ります」
「木の実が名乗るんだ」
「はい、そして」
 ここでだ、火鳥は。
 その姿を変えた、橙色の服を着た楚々とした外見の黒髪の娘になった。そうしてこう言ったのだった。
「火晶といいます」
「それが君の名前なんだ」
「はい、怪我を治してもらった恩返しをしたいのですが」
「そんなのいいよ」
「そういう訳にはいきません、お家のお手伝いをさせて頂きます」
 こう言ってだった。
 火晶は李表と四子の家に住んで働く様になった、枝は火晶の言う通りに植えるとだった。
 見る見るうちに成長し彼女が言った通りに橙色の木の実、丸く食べると実に甘くて美味いそれを多く実らせる様になった。
 火晶はその木を育てて家の仕事もしてだった。
 二人の暮らしは実に楽になった、それで彼女が家に来て三年経ち彼女だけでなく四子も見事に成長したのを見て。
 李表は二人に言った。
「結婚しないか、二人共」
「僕達が」
「そうしていいんだ」
「そうだ、二人共仲がいいしな」
 李表は火晶のことを知っている、彼女が火鳥であったことも。そのうえで言うのだった。
「これからはな」
「結婚してなんだ」
「家族になってですか」
「暮らしてくれ、そうしてくれたらわしは満足だ」
 笑顔で言ってだった。
 李表は二人に返事を聞いた、すると二人もだった。
 それならと頷いて結婚した、そうして結婚したが。
 結婚式の時に李表は集まってくれた村人達に火晶がいつも育てて自分達が食べている木の実を振舞った、すると。
 木の実を食べた村人達は笑顔で言った。
「これは美味な」
「そうだな」
「こんな美味い木の実ははじめてだ」
「李さん達が何を食ってるか気になっていたが」
「こんな美味いものだったか」
「はい、接ぎ木出来ますので」
 ここで火晶が言ってきた。奇麗な花嫁姿で。
「これからは村全体に広めてです」
「そしてか」
「食えるか」
「はい、召し上がって下さい」
 火晶は笑顔でこう言ってだった。
 接ぎ木をして村全体にその木を広めた、すると村人達は皆その木の実を堪能する様になった、だが。
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