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冥王来訪
第二部 1978年
ソ連の長い手
雷鳴止まず その2
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マサキは、ふとスコップを落とした。
『俺は、勘違いをしていたのかもしれない』

 マサキは、BETAが一種の生体ロボットであることは類推していた。
カシュガルでのタコの化け物がコンピューターを、美久を乗っ取ろうとしかけていた事からそう考えていた。
故に、今回も電子機器に何かしらの反応があると踏んで、次元連結システムをフルに活用し反応を調べていた。
 だが、めぼしい反応がなかったと諦めていた矢先に、この話を聞いて思い悩んだ。
今は、鉄骨のような状態でメインエンジンの構成パーツになっているも、普段は人間の姿に似せて特殊形状シリコンで、外皮の様に覆っている。

 
 もし今の事が事実ならば、BETAはシリコン、詰り珪素に反応したという事……
有機生命体である人類や哺乳類を生命として認識しているか、疑わしくなってきた。
彼は、一つの結論に達した。

『やはり奴等は、母星から滅ぼさねば……』

 そうなって来ると、この地球を支配する事より、まず先にBETAの母星に乗り込んで、本拠地ごと灰燼に帰すしか有るまい。

 途端に不安になった。
今のゼオライマーの装備では、次元連結砲以外の武装が無いのが、最大の弱点だ。
未だ人類未到達の月や火星にあるハイヴに乗り込んだ際に近接戦闘に持ち込まれたりすれば、防ぐ手立てはない。
マサキは、そう思うと、背筋に冷たいものを感じた。

 天のゼオライマーは他の八卦ロボとは違い、無限のエネルギーを有する。
それ故に、ほぼすべての武装を遠距離攻撃を主とするものに限定して設計した。
月のローズ・セラヴィーのように近接戦闘に対応する武器がない……
山のバーストンの如く、多段ロケット連装砲のような補助兵装も無ければ、火炎放射器やビーム兵器の類も無い。
天候操作や人工地震の発生も一応可能だが、風のランスターほど十分ではない。

 やはり新型機を、この世界で作るしかないか……
一層(いっそ)の事、八卦ロボの装備を闇鍋の様に混ぜた機体を一から作るのも悪くはない。
この世界のロボット建造技術があれば、元の世界で10年掛かる所を半年で出来るかもしれない。
鉄甲龍に残った同僚・ルーランは15年の歳月を掛け、自分が破壊した八卦ロボを再建した。
 凡夫(ぼんぷ)のルーランですら作れるのだから、この世界の人間にも可能であろう。
異界の天才技術者の手を借りるのも、悪くは無い。

 そうなると先んじて戦術機と言う大型ロボットを開発した米国の知見を利用する。
悪くないように思える……。
 早速基地に還った後、戦術機の技師である(たかむら)に知恵を借りるとするか……
手慰みに書き起こした月のローズセラヴィーの図面でも持って行って、あの貴公子の機嫌でも取ろう。


 その様な事を考えながら、コ
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