第五百九話 歌も歌いつつその十三
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「来るといい、それぞれの別荘に管理人もいるから奇麗だしな」
「お掃除もしていてなのね」
「シェフも用意する」
「じゃあその時は」
「宜しくお願いします」
智樹は二等身になって紅麗の前に来てぺこりと頭を下げて申し出た。
「俺でよかったら」
「私は構わないが」
紅麗は自分の座に座ってから智樹に正対して応えた。
「くれぐれもだ」
「壊さないことですか」
「壊すとだ」
「まさかその火で」
「壊した分を弁償してもらうことになる」
怯んだ智樹にこう返した。
「だからな」
「あっ、燃やされないんですか」
「戦いの時以外私も炎は使わない」
このことは保証した。
「安心することだ」
「それは何とか」
「だが君は何かと騒動に愛されているからな」
智樹のそうした一面をわかっての言葉だった。
「だからだ」
「それで、ですか」
「若し騒動がやって来てだ」
そのうえでというのだ。
「別荘を壊したらな」
「その時はですね」
「賠償をしてもらう」
「お金はイカロスに出してもらえますが」
智樹は二等身のまま左手を頭にやってバツが悪そうに述べた。
「やっぱりですね」
「そうしたことはない方がいいな」
「騒動が起こるといつも俺とんでもないことになりますし」
「幾ら何でも酷過ぎるでしょ」
真理もそれはと指摘した。
「桜井君は」
「そうですよね」
「君の自業自得の場合も多いけれど」
「何か向こうから自然にです」
「騒動が来てね」
そうしてというのだ。
「不幸になっているわね」
「もうボロボロになったり裸になったり」
「家が壊れたり」
「他には誰かにぶっ飛ばされたり」
「そうよね」
「もうそれがです」
智樹自身もだった。
「心底参っています」
「君の運のなさは凄まじい」
草加も気遣って言う。
「それをどうにかしないといけない」
「お祓いした方がいいですかね」
「お祓いしても無理だよ」
豆腐小僧も彼を気遣っている。
「君に憑いてる不運この顔触れの中でトップクラスだから」
「トップクラスかよ」
「物凄いよ、おいらいつも見て怖いから」
智樹にまとわりついている不運をだ。
「無茶苦茶凄いよ」
「本当にいつも不運に遭ってるわね」
アンジュも引いた顔で言う。
「智樹は」
「自業自得でもいつも普通に倍の不幸が襲ってきてるわね」
じゅりが見てもだ。
「その生命力がないと今頃死んでいるわよ貴方」
「俺もそう思います」
「生命力ならライダー以上だな」
左はこう言って認めた。
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