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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第五十一話 第五次イゼルローン要塞攻略戦(後)
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宇宙暦792年11月26日19:20
イゼルローン回廊、イゼルローン要塞近傍、自由惑星同盟軍、第八艦隊、総旗艦ヘクトル、宇宙艦隊司令部、
ヤマト・ウィンチェスター


 「長官代理、頃合いです」
「前衛の三艦隊に連絡、無人艦を突入させよ」
敵の意図は明らかだった。堪えきれないと思ったのだろう、敵予備兵力がイゼルローン駐留艦隊左翼を迂回、第五艦隊の右側面に攻撃を仕掛けてきた。駐留艦隊の後退を援護するためと予想された。確かにあれがなかったら駐留艦隊は無秩序に後退を始ねばならなかった筈だ。それほど第五、第四艦隊の攻撃は激しかった。だが敵予備兵力の攻撃は完全に成功とはならなかった。第五艦隊は素早く対応し、二千隻程の分艦隊が敵予備を足止めしたのだ。そして第五艦隊の本隊も駐留艦隊への攻撃を継続、それにつられて第十艦隊も兵力の一部をC目標と称されている小集団への抑えに残し、本隊が戦線に復帰した。こうなっては敵も堪らない、ずるずると後退しかない。

 「オスマン中将に命令。第八艦隊、回頭左四十度。イゼルローン要塞に向けて移動せよ」
シトレ親父の命令で第八艦隊が動き出す。第八艦隊はシトレ親父が直卒、という形だが、実際の艦隊指揮は艦隊副司令官のオスマン中将が行っている。通常副司令官は少将だが、シトレ親父が長官代理という事で全体の指揮を執らねばならないため、オスマン少将が昇進して第八艦隊の指揮を執る事になった。シトレ親父のおこぼれ昇進、などとやっかまれているが、つらいのは本人だろう。いきなり艦隊司令官になったのだから。シトレ親父から代理の文字が取れた後は、そのまま中将が第八艦隊司令官になる予定だ。
第八艦隊が移動を始めた。艦隊戦が行われている戦場を離れ、要塞北半球、此方から陰になって直接視認出来ない座標に向けて動き出す。
「無人艦隊、突入を開始しました。艦隊戦にて被害が発生している為、突入出来るのは四千二百五十隻となります」
「充分だ。これで主砲は封じる事が出来るだろう。艦隊戦の指揮はそのままグリーンヒル中将に一任する」
シトレ親父は大スクリーンをじっと見ている。第八艦隊が移動を開始した為、総旗艦ヘクトルの周囲には巡航艦と駆逐艦が合わせて三百隻程いるだけだ。不安ではありませんか、と尋ねたら、『不安なのは直接戦っている者達だろう、いつ要塞主砲を撃たれるのか分からんのだからな』と言っていた。こういう所は是非見習わなければいけない。
 
 無人艦のコントロールはヘクトルから行われている。後退する敵に乗じて急速追撃、そのまま敵を突破するように指示が出されていた。たとえ後退中の帝国艦隊とてみすみすと突破は許さないだろうから無人艦は敵と混在する状態になる訳だ。帝国軍が状況を打開するのはかなり難しい。自陣の中に無差別に発砲する無人艦、前方からはこちらの三個艦隊が
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