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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第五十一話 第五次イゼルローン要塞攻略戦(後)
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包囲する模様!」
キルヒアイスがこちらに向けて叫んでいた。思わず声がうわずったのだろう、まるで悲鳴の様だった。沈着冷静なキルヒアイスの大声を聞いたのは幼年学校以来だ、こんな時だが吹き出しそうになった。俺は……。
「参謀長」
「何かな」
シューマッハ中佐の表情も硬い…上手くいかない、負けるとはこういう事なのか。何かが肩に重くのしかかる。
「転進…を進言します」
「…転進とは上手い言い方だな、少佐」
「…ノルトハイム・グルッペと呼応し敵三個艦隊の後背に抜けましょう。我々それぞれが敵艦隊への攻撃を止め、敵の後背を取れば、敵の駐留艦隊への攻撃も緩くなると思うのですが。幸い我々とノルトハイム・グルッペは敵の両翼の外側に居ますので、連絡を密にすれば後背を取る事は出来ると思うのです」
「この状況でそれをやれば敵に傍受され、目的を察知されるぞ」
「通信を傍受され目的を察知されても、それ自体が敵への牽制になります。上手く合流できれば我々は八千隻程の戦力となります。敵も駐留艦隊に掛かりきりではいられなくなりますし、駐留艦隊も少しは楽になると思うのです」
「…そうだな、まずは状況を楽にする事を考えねばな…如何致しましょうか、閣下」
「少佐の案を是としよう。参謀長、ノルトハイム・グルッペ及び駐留艦隊に連絡せよ」
「はっ!」



11月26日20:15
自由惑星同盟軍、総旗艦ヘクトル、宇宙艦隊司令部、
ヤマト・ウィンチェスター

 敵の一部が動き出した。C目標と第五艦隊に側面攻撃を仕掛けて来た敵の予備兵力だ。素早い艦隊行動ではないものの、前衛艦隊の両翼外側から後背に回りこもうとしている。足止めしていた味方は何をしていやがる!…そうか、勝手に戦線を離れて要塞主砲の的になることを恐れているのか…この状況では要塞主砲など撃てないとは思わないのか!?…そうか、とてもそうは思えないのか…こんなにもトゥール・ハンマー(要 塞 主 砲)がプレッシャーになるとは…。既に前衛艦隊は主砲の射程圏内に入っている、俺は今まで見たことが無かったから想像が出来なかったが、これ程前線の兵士に恐怖と重圧を与えるものなのか…。
間の悪い事に無人艦からの映像が大スクリーンに写し出される…イゼルローン要塞はでかい、でかすぎる!…ダメだ、負けるな、負けるんじゃない!
「第四艦隊に連絡、艦隊の統制を厳とせよ」
突如としてシトレ親父の声が耳を打つ…なんだ?概略図を見ると第四艦隊の陣形後部が崩れ出している。挟撃の恐怖からだろう。大スクリーンに見とれてうっかりしていた…。
「第八艦隊に命令、近接戦闘にて要塞の戦闘艇射出口及び浮遊砲台を制圧せよ…総参謀長、無人艦に要塞宇宙港への突入指示を出せ」


11月26日20:20
自由惑星同盟軍、第八艦隊、強襲揚陸艦マヨルカ、|ロー
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