第六百七十一話 野上君の戻る先その四
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「嫌いじゃ」
「そうですか」
「それで巨人は今日もじゃ」
「負けたんですね」
「今シーズン六十試合終わってじゃ」
そうなってというのだ。
「五十五敗じゃ」
「相変わらず弱いですね」
「しかもチーム打率一割五分でな」
それだけでというのだ。
「防御率は十点台じゃ」
「ある意味凄いですね」
「エラーは百五十でな」
六十試合を終わってというのだ。
「またも負けたかじゃ」
「伊達に千年連続最下位じゃないですね」
「あれでも強かった時期があるのじゃ」
博士はチーズを食べてワインを飲んで話した。
「二十世紀はな」
「日本のプロ野球創世期ですね」
「その頃はな」
「何でも球界の盟主で」
「強かったが」
それがというのだ。
「今はもう昔でな」
「あの通りですね」
「連合一の弱小球団になった」
「千年連続最下位の」
「何もかもが最低な、な」
その成績はというのだ。
「弱小球団になり果てた」
「そうですね」
「強かった頃にやりたい放題やってのう」
それは球史に残っている、他球団からの強奪を繰り返し文字通り暴虐の限りを尽くしてきたのである。
「そしてな」
「そのツケですね」
「親会社が傾いてな」
「最初はマスコミでしたね」
「マスコミ自体が斜陽になってな」
二十一世紀からのことである。
「それでじゃ」
「お金もなくなって」
「身売りされてな」
「そこからですね」
「どんどん転落してな」
そうなってというのだ。
「まともな選手は来ない、育たない」
「そうなって」
「赤貧どころかじゃ」
財政事情もというのだ。
「毎年大赤字のな」
「そんな状況になって」
「あの様になったのじゃ」
「そうですか」
「しかし親会社にはメリットがある」
例え球団経営が大赤字でもだ。
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