暁 〜小説投稿サイト〜
ウルトラマンカイナ
米国編 ウルトラセイバーファイト 中編
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


「1番危険なのは姉さんでしょう。……すみませんあやめ先輩、うちの姉が毎度毎度」
「あ、あはは……ありがとう、杏莉(あんり)ちゃん」

 思わぬ不意打ちに涙目になっていた遊里の背後では、彼女の妹である沢宮杏莉(さわみやあんり)が冷ややかな表情を浮かべていた。
 艶やかな黒のロングヘアを靡かせる彼女も、姉と同様に女子中学生らしからぬスタイルの持ち主であり、その歳不相応に怜悧な美貌は、同性のあやめも思わず息を呑んでしまうほどであった。

「いったぁ〜! ちょ、ちょっと杏莉っ! 少しは加減しなさいよぉ〜っ! この私の明晰な頭脳が損なわれたらどうすんのよっ!」
「万年補習のおバカさんが何を言ってるんだか。こないだの中間テストだって、あやめ先輩に付きっきりで面倒見て貰ったのに赤点連発だったし。あやめ先輩に申し訳ないと思わないの? ていうか、思え」
「……うわぁあん! あやめぇえ! 杏莉がいじめるぅ〜! 慰めてぇ! あやめのおっぱいで今すぐ慰めてぇ〜!」
「あ、あはは……」

 彼女達「沢宮姉妹」は学内でもトップクラスの人気を集めているヒエラルキー上位者であり、中学生らしからぬ安産型の桃尻は学内のみならず、他校でも話題になるほどであった。その美貌とスタイル、そしてカリスマ性故に友人や知人は非常に多く、発言力の強さも並外れているのである。
 そんな彼女達が友人として側に居るからこそ、あやめの豊穣な肉体は守られているのだろう。沢宮姉妹に喧嘩を売ったら全方位から潰される、という噂はすでに学生間のコミュニティには深く浸透しているのだ。

(……いつか、私にも……誰かとそんな風に(・・・・・)なりたくなる時が、来るのかな)

 その沢宮姉妹に守られながらも、この動乱の時代を健やかに過ごしているあやめは独り――いつか来るのかも知れない「未来」に、想いを馳せていた。

 自分の全てを委ねたいと思えるような相手。そんな男が、いつか自分の前に現れるのだろうか。もし本当にそんな時が来たら、自分は上手く想いを告げられるのだろうか。

「あー……やっぱりあやめのおっぱいは癒されるなぁー……。この柔らかさ、この匂い……堪んねぇー……」
「いい加減にしなさい姉さん、あやめ先輩が困ってるでしょっ! あやめ先輩も気を付けてください、ちょっとでも気を許したらうちの姉はどこまでもつけ上がるんですからっ!」

 まだ見ぬ運命の人に思いを馳せるあやめは、自分の乳房に可憐な顔をぐりぐりと擦り付けて来る遊里の頭を撫で、遥か彼方の青空を仰ぐ。

(……あれは……)

 その先には、両腕を広げて天空を駆け抜けている、ウルトラアキレスの影があった。
 それこそが「運命の人」との出会いになるとは、この当時の彼女には知る由もなかったのである――。


[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ