米国編 ウルトラセイバーファイト 中編
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との戦闘で、琴乃達のBURKセイバーは激しく損傷してしまったのだ。現在はかなり修理も進んでいるのだが、それでも遠方に駆け付けることが出来るほどの段階とは言えない。
琴乃達は己の非力さを悔やみながら、拳を振るわせることしか出来ずにいた。部下の命を重んじる弘原海の考えを理解しているからこそ、やりきれない思いを抱えるしかないのである。
それは弘原海も同様であり、彼は部下達の友情に応えられない自分の不甲斐なさを呪うばかりであった。そんな彼らの前に――1人の青年が進み出る。
「分かりました……それなら、俺が行きます!」
「嵐真……! 無茶言ってんじゃねぇ、お前だって昨日の戦いの疲れが取れてねぇはずだろうが!」
ウルトラアキレスこと、暁嵐真。彼の身を案じるが故に発せられた弘原海の怒号が、この一帯に響き渡る。
それでも若きウルトラ戦士は一歩も引き下がることなく、弘原海の鋭い眼差しと真っ向から向かい合う。その瞳からは、疲れの色など微塵も見られなくなっていた。
「それでも……今すぐ動けるのは俺だけのはずです。俺にとってもエリーさんは大切な仲間なんです、行かせてください!」
「嵐真……」
「……地球の平和だとか未来だとか、そんな大それた理由を抱えられるほど、俺は大人じゃない。それでも俺はただ、少しでもたくさんの人達に生きていて欲しいから……アキレスになったんです! シルバーブルーメの時に皆が力を貸してくれたのも、レッドキングの時にBURKセブンガーが来てくれたのも、こういう時のためでしょうッ!」
BURKの全面的なサポートがあったからこそ、残っている余力。そのリソースを今こそ行使するべきなのだと熱弁する嵐真は、すでに19歳の青年ではなく――「戦士」の貌になっていた。
「……」
その眼差しに宿る力強さを見た弘原海は、逡巡の果てに決意する。もうこの男を、ただの若者と見るのは止めなくてはならない。1人の戦士として、対等の戦友として見なければならないのだと。
「……分かった。だが、一つだけ命じておくぞ。何があろうと、必ず生きて帰って来い。ナカヤマのことを思うのなら、必ずだ! いいな!」
「はいッ!」
「済まない……! 頼むぞ、嵐真!」
「嵐真君、頑張れーっ!」
仲間のためを思えばこそ、生き抜かなければならない。その厳命を帯びた嵐真は琴乃達に見守られながら、基地の外へと走り出して行く。
そして、大空を仰ぎながらアキレスアイを天に翳し――
「デュワッ!」
――真紅の巨人へと「変身」するのだった。自分の戦いを支えてくれた仲間達の思いに、今こそ報いるために。
◇
「……はぁ」
その頃、東京都内のとある住宅街では――眼鏡を掛けた1人の美少女が
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