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ウルトラマンカイナ
米国編 ウルトラセイバーファイト 前編
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のだ。

 それほどの「高嶺の花」である故か、本人の男勝りな性格故か。彼女は齢19でありながら、未だに「男」を知らない処女(バージン)であった。が、本人は軟弱な男共を嘲笑うかのように、敢えて無防備に己の乳房を揺らし、雄の本能を翻弄している。
 整備士達の視線に気付いていた彼女は、挑発的な笑みを零しながら、わざと腰をくねらせて足を組み替えていた。その蠱惑的な腰の動きと乳房の弾みに、整備士達はさらに沸き立っている。

 だが、このニューヨーク基地に居る全ての隊員が、彼女に意見出来ないわけではない。腰にブランケットを巻いた1人の美女は、アメリアの尊大な振る舞いを怪訝な表情で見下ろしている。

「……アメリア隊長、整備士達をからかうのもその辺にしてください。彼らも仕事にならないでしょう」
「ふんっ、この私に意見する気? 元調査隊メンバーだからって、調子に乗らないことね。エリー」

 かつてはリーゼロッテ率いるBURKセイバー隊の一員として、ホピス星の調査任務にも参加していたエリー・ナカヤマ隊員。彼女の雷名を知りながらも、自分の方が階級が上であることを鼻にかけているアメリアは、不遜な笑みを浮かべていた。

 一方、そんな上官の振る舞いにため息を溢すエリーは、先ほどのアメリアの発言に眉を顰めている。ウルトラアキレスの「正体」と、その「人柄」を知る数少ない1人として、彼女の言葉は見過ごせなかったのだ。

「地球は地球人の手で守り抜かねばならない、という意見には私も同意です。しかしアキレスは、まだその理想に届かずにいる私達のために、力を尽くしてくれているのです。彼の働きを否定する発言は看過出来ません」
「ふんっ、だったらその理想をこの私がすぐに実現してあげるわよ。もうこの地球に、ウルトラマンなんか要らないわ。地球を守る力は、BURKだけで十分。私もパパも、そのためにずっと努力して来たんだから!」
「アメリア隊長……」

 現代の合衆国を率いている、スコット・マスターソン大統領。アメリカ支部のトップに立つ、チャック・ギャビン司令官。そして自分の才能を見出した、ベス・オブライエン教官。
 彼らの期待を一身に背負い、エリートとしての誇りを糧に努力を重ねて来たアメリアは、エリーの言葉にも全く耳を貸そうとしない。そこに彼女なりの強い想いがあることを知っていたエリーは、それ以上の言葉を紡げずにいた。

 世界最大の軍事企業を率いるトップとして、BURKセイバーの開発にも携わっていた父の背中を見て育って来た彼女にとって。自分達のアイデンティティを揺るがしかねないウルトラアキレスの存在は、決して無視できるものではないのだろう。

 決して、単なる功名心や自尊心だけが理由ではない。地球を守るという崇高な信念を持った父を深く尊敬しているからこそ、
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