暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第127話:弱さは強さ
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おけ!」
「で、でも……」
「いいから、急ぐぞ!」

 クリスと透に引っ張られる形で響は半ば強引にその場から移動させられた。急いでいたので、扉は閉められることなく開けっ放しで装者達が出て行った廊下が丸見えとなる。

 その部屋の前を何かが通り過ぎていった。

「ん?」

 不可視の何かが部屋お前を通り過ぎていったような様子に、異変を感じた慎二が部屋を出て何かが通り過ぎていった方を見る。しかしその先には何も見当たらない。

「……風?」

 異変を感じた気がしたが、何もない事に気の所為だったかと首を傾げる慎二。

 しかしそれは気の所為ではなかった。慎二の目は確かに一瞬だが捉えていたのだ。

 姿を消した状態で施設の中を進む、オートスコアラー・ファラの姿を。
 ファラは誰にも見られることなくある部屋に向かった。その先にあるのは、この施設に保存されているフォトスフィアのデータがある部屋。

 その部屋が目の前に見えたところで、ファラは姿を消したまま部屋の扉を開けようと手を掛けた。

 次の瞬間、部屋は内側から開かれた。

「!?」
「ん?」

 部屋から出てきたのはアルドであった。まさか部屋からアルドが出てくるとは思っていなかったのか、ファラは息を呑みながらも姿を消したままゆっくりと下がる。

 先程慎二は距離があった為気の所為で済ませていたが、流石に目の前ともなれば違和感は大きくなる。

 アルドはそっと前方に手を伸ばす。アルドの手が近付いてくることにファラは焦りを感じつつ、派手に動けば装者達が戻ってくるかもしれないと迂闊な事が出来ずゆっくりと距離を取るしか出来ない。だがファラが距離を取るより、アルドが手を近付けてくる方が早かった。
 このままではファラの存在がアルドにバレる。

「何してんだアルド?」

 そこに颯人がやって来た。彼が声を掛けてきた事でアルドの意識がそちらに向き、同時に手が引っ込められた。

「颯人? 貴方こそこんな所で何を?」
「ん〜……便所? それよりそっちは?」
「調べものです」

 アルドは簡潔に答えると、改めて違和感の正体を見極めようと手を伸ばした。そかし伸ばされた手は何もない空間を掴んだだけに留まり、違和感の正体を知る事は出来なかった。

 首を傾げるアルドだったが、気の所為ならそれでいいかと小さく息を吐いた。

「どうした?」
「何でもありません。それより颯人、近くでアルカノイズが出たようです。貴方も早く向かいなさい」
「へ〜いへいっと」

 颯人は気の無い返事を返しながら、廊下を進み外へと向かう。アルドはその後をゆっくりとついて行った。

 誰も廊下から居なくなったのを見て、ファラは安堵の溜め息を吐き改めて目的の部屋へと入
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