暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜絶望と悲哀の小夜曲〜
圏内事件〜追跡編〜
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女を知らないだろ。あの人は……グリセルダは、すげえ強くて、いつも毅然としてて………でも、不正や横着にはとんでもなく厳しかった。あんた以上だよ、アスナさん。だから、もし自分を罠に嵌めて殺した奴がいれば……グリセルダは、絶対にそいつを許さない。たとえ、幽霊になってでも裁きに来るだろうさ…」

しん、と重苦しい沈黙が広い部屋を満たした。

アスナが閉めたのだろう、施錠された窓の外ではもうほとんど日が沈んでいる。

橙色のランタンが幾つも灯され、街は一夜の憩いを求めるプレイヤーで賑わっているはずだが、喧騒も不思議にこの部屋を避けているようだった。

唐突にレンが口を開いた。

「………別におじさんが何を信じよーが勝手だけどさ、約束は守ってよね」

「や、約束………?」

「グリムロックの行きつけの店を教えるって約束だったでしょ」

素っ気なくレンは言い、キリトとアスナに向き直った。

「キリトにーちゃん達は、その店に行ってくれない?」

「お、お前はどーするんだよ」

「………僕は、行くとこができたから」

伏せ目がちにそう言うレンから、言いようのない威圧感が放たれているような気がして、キリトはそっか、としか言えなかった。

「分かった。じゃあ、ここからは別行動だな」

キリトの言葉に、レンはこくりと頷くと静かにドアを開けた。

立ち尽くすキリトの前で、静かにドアが閉まった。
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