第2部
ランシール
二人の距離
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……。それにこの声はかなり耳慣れている。私は過去の記憶を思い返し、そして気づいた。
「あっ! もしかして、へそにゃん!?」
確か一度エドガンさんがへそにゃんのことをワーグナーと呼んでいたことがあった。つまりこの人はへそにゃんの中の人、と言うことになる。
あまりのギャップに、私だけでなくユウリも戸惑っている。
「あっ、すいません! この姿でお会いするのは初めてでしたね。へそにゃん改めワーグナーと申します。もともと私はここで神官見習いとして働いてたんです。まあ、今はほとんど観光招致と雑用のアルバイトばかりなんですが」
へそにゃんことワーグナーさんは、着ぐるみを脱いでもさほど変わらない態度で、私とユウリに挨拶をした。
「さっきエドガンさんがうちに来て、ユウリさんたちが出発すると伝えてくれたんです。非番だったんですが、最後にユウリさんたちに是非お礼を伝えたくて慌てて来ました」
「お礼を言われるほどのことはしてないはずだが?」
身に覚えがない、と言う顔で眉をひそめるユウリ。
「いえいえ、地球のへそを到達したユウリさんのおかげでこの町の知名度も上がり、町に活気が戻りました。昨日のお祭りをきっかけに、他の町からここに引っ越そうと思った人もいたみたいですし。それだけでなく、この町の改善点も上げてくださり、今町の人たちともユウリさんが提案してくれた件について協議しているところなんです。それもこれもお二人のお陰です。是非お礼を言わせてください。本当にありがとうございます!」
そう言うとワーグナーさんは、ユウリと私、両方の手を握りしめた。いや、結局私は何もしてないんだけど。
「それはいいが、この町には一部ガラの悪い連中もいるようだぞ。まずは治安の方を良くしたらどうだ?」
「ええっ!? そうなんですか!? さすがユウリさん、そんなところまで心配してくださるとは!!」
「わかりました、今度町長に申し伝えておきましょう。またいつでもユウリさんたちに来ていただきたいですからな」
横から割って入ったエドガンさんも、ユウリの言葉に首肯する。
「今度はもっと観光地らしくなってるといいな」
「いやはや、精進します」
そのあと、ユウリはさらにこの町について気になるところをいくつかエドガンさんに教えてあげていた。エドガンさんは目から鱗が落ちたかのように感激しながらユウリの話に耳を傾けていた。ランシールの町が観光地として生まれ変わるのもそう遠くない話だろう。
「あ、そうだ、ミオさん。ちょっといいですか?」
ユウリたちが話している間、ワーグナーさんは私に向き直ると、小声でこっそり耳打ちしてきた。
「地球のへそが一部破壊されたかもしれないということ、エドガンさんには言ってませんよね?」
ワーグナーさんは、ユウリがあの不気味な仮面を壊したことによっ
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