第五百九話 歌も歌いつつその九
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「戦っている」
「そうなんですね」
「俺はそうしたいからそうしている」
「ここまで強くなることを目指しているとだ」
シュラは箸を動かしつつ冷静に述べた、黄金聖闘士達は皆浴衣姿で正座している。
「必ず適う」
「うむ、自分の殻なぞ何でもない」
カミュも言い切る。
「そんなものは突き破れる」
「その時が本当に大事ですね」
元士郎はカミュに尋ねた。
「殻を突き破ることが」
「そうだ、君もわかっているな」
「俺はそんなに苦労していないですが」
「いや、話は聞いている」
カミュは鮎にすだちをかけつつ微笑んで話した。
「君もかなりの修行をしたそうだな」
「そうでしょうか」
「匙君はとても頑張ってくれました」
蒼那が彼の横から言ってきた。
「私が考えたトレーニングの倍をです」
「いつもだな」
「してくれていて」
それでというのだ。
「自分から。それでです」
「自分の殻を突き破ったな」
「そうしてくれました」
こう答えたのだった。
「ですから」
「苦労もだな」
「してきた筈です」
「いや、一誠を見たら」
元士郎は真剣な顔で答えた。
「俺なんてとても」
「頑張ったから今がある」
こう言ったのはエルヴィンだった。
「違うか」
「うむ、そうだな」
カエサルはエルヴィンの言葉に頷いた。
「ローマは一日にして成らずだ」
「人は努力してこそ何かになるものぜよ」
おりょうも言う。
「それならのう」
「匙殿も然りだ」
左衛門佐は彼を見て言い切った。
「努力し苦労し頑張ったから今があるのだぞ」
「生徒会の頼れる一員よ」
蒼那はそっと顔を赤くさせ俯いて言った。
「貴方は」
「そうだといいんですが」
「うむ、まさにな」
アインズも元士郎に言う。
「その実力は努力なくして得られないものだ」
(実際彼かなり頑張ってるよ)
いつも通り心の中でも呟く。
(驚く位にね)
「これからも期待している」
「そこまで言われると恥ずかしいですね」
「恥ずかしがることがない」
(俺なんかより努力しているよ)
また心の中で呟いた。
(立派だよ)
「会長殿からも頼りにされているしな」
(というか蒼那さん匙君のこと好きだよな)
心の中でこうも呟いた。
(どう見ても。応援したいな)
「その頼りに応えることだ」
「匙さんがいてくれて何度か助かっている」
紅緒もこう言う。
「そのことは事実だ」
「君は強い」
駆紋も元士郎に告げた。
「安心しろ」
「えっ、駆紋さんもそう言われますか」
「事実を言ったまでだ」
その言葉は揺るがないものだった。
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