第五百九話 歌も歌いつつその七
[8]前話 [2]次話
「有り難い」
「私達もです、ユニオンの方々が一緒なら」
それならとだ、飛龍はまた言った。
「心強いです」
「そう言ってくれるか」
「ですから」
それでというのだった。
「これからもです」
「仲良くしてな」
「友達でいましょう」
「しかしだ」
荻野はここでヴァレンティーノを見て言った。
「そうは言い切れない場合もあるな」
「警察とマフィアは相容れないであろーー」
「その通りだ」
「だから吾輩達は捕まらないであろーー」
「というか捕まったことあったな」
「そうですよね」
圭は洋の言葉に頷いた。
「脱獄もして」
「そうだったな」
「ですから捕まらないというのは」
「言えないな」
「そうですよね」
「それは些細なことであろーー」
そう言われてもどうにかなるヴァレンティーノではなかった、全く平気な様子で浴衣姿で正座をしつつ飲んで食べつつ言う。
「脱獄すればノーカウントであろーー」
「そやろか」
ジョーヌはヴァレンティーノのその言葉に首を捻った。
「ちゃうんちゃうか?」
「捕まって刑務所に入ったことは事実だから」
ノワールも言う。
「もうそうなったら」
「カウントされるわよね」
ベールも言う。
「もう」
「というかだ」
レオンミシェリは腕を組んで正座してヴァレンティーノに尋ねた。
「お主裁判の時に逃げなかったのか」
「脱獄こそ面白いであろーー」
「だからか」
「裁判は受けたであろーー」
「そういうことか」
「前から思ってましたがヴァレンティーノさんにはこだわりがありますね」
このことは珠雫が指摘した。
「どうも」
「そうした人だね」
一輝もその通りだと頷いた。
「何かと」
「そうですね」
「そしてそのこだわりがね」
「魅力的です」
「そうだね」
「しかもマフィアであっても」
珠雫はさらに話した。
「許せない悪事は犯さないので」
「いいね」
「はい、赤座の叔父様なぞ」
珠雫はその目を怒りで凍らせて述べた。
「何時かです」
「あれっ、あの人失脚したでしょ」
「そうですが」
珠雫は今度はステラに応えて話した。
「お兄様にしたことを思えば」
「何時かなのね」
「お父様共々」
本気の言葉だった。
「この手で」
「あの、流石に」
ギャスパーはその珠雫に引いた顔で言った。
「実の父親は」
「お兄様にいつも酷いことをしているので」
「生活の援助はしているよね」
「ですが」
それでもというのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ