234 会食の機会を
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藤木はりえとまた会える嬉しさで顔が少しニヤけた。
夕食時、りえが軟禁されている部屋に二人の給仕係の遊女が現れた。
「お食事のお時間です。本日は貴女の婿の希望で会食という形となります」
「会食っ?いつから私のお婿さんができたのよっ!?」
りえは怒りを前面に出した。
「貴女があの方のお嫁に相応しいと言う事が分かったからです」
(藤木君と結婚させるって事ねっ・・・!)
りえは推測がすぐにできた。
「食堂へとお通し致しますので付いてきてください」
りえは黙って付いて行く。今なら武装の能力でこの遊女達を吹き飛ばして出口を探してここから抜け出す事も可能かもしれないが、逆に暴れて始末されてしまうのではないかと思うと怖くて何もできなかった。
(杉山君があの世界の人と一体化してたなんて・・・)
りえはそのまま食堂へと入った。
「りえちゃん・・・」
「藤木君・・・」
りえと藤木は向かい合って食事する事になる。
「では食事の時としよう。坊や、嫁との晩餐、楽しむがよい」
「は、はい・・・」
(こっちは楽しめる訳ないわよっ!!)
食卓には和洋問わず様々な料理が置いてあった。りえは黙って食べ始めたが、藤木はりえの方ばかり見て進んでいなかった。藤木は思い切って口を開ける。
「り、りえちゃん・・・!!」
「え?」
「あ、いや、その・・・」
藤木は緊張しながら喋り出した。
「さっき、杉山君に会ったんだ。僕を元の世界に連れ戻しに来たんじゃないかと思ったんだけど、そうじゃなかったんだ。そしたら僕が無事かどうか確かめに来たんだってさ」
「ふうん・・・」
「それで、りえちゃんは、その、そうだ、ピアノ、頑張ってるのかい?」
「うん・・・。でも、こっちに来てからは弾いてないわ」
「そっか、そういえば初めて会ったきっかけってりえちゃんが教会のピアノを弾いていて僕が幽霊が弾いてるって勘違いした事から始まったんだよね」
藤木は夏休みの出来事を回想する。
「えっ?うん、そうだったわね・・・」
「それで杉山君が幽霊だったらいいって喧嘩になっちゃって・・・」
「ああ、杉山君、か・・・」
りえはその時から杉山と喧嘩していた事を回想する。
(私も臆病者呼ばわりしたわね、あの時・・・)
「・・・ピアノ」
「えっ?」
「りえちゃんのピアノ、また聴けたらいいな・・・」
「藤木君・・・」
「妲己さん、ここにピアノを持ってくる事ってできますか?」
「『ぴあの』?」
「楽器のことです。白と黒の鍵盤がある」
「そうか、近いうちに調達してみよう」
「ありがとうございます」
そして二人は食事を進める。
「そういえば藤木君は皆から嫌われてここに来たみたいだったけど?」
「あ、その・・・。学校から帰る時に野良犬と出
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