ジグソーパズル
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ラのピースを組み合わせて初めて画が完成する。ピースのままだと、どんな完成品ができるのか全く分からない」
「何が言いたい?」
「ハルト君。君も、ムーンキャンサーも。全て、私のピースだということだ」
霧崎はそう言って、傘を閉じた。
投げ捨てられたこうもり傘は、停車してあるマシンウィンガーにぶつかり、そのまま地面に投げ捨てられた。
「ムーンキャンサーの力は計算外だが、それでパズルがどのような画になるのか、なおさら楽しみになってくる」
やがて、見滝原中央駅の内部から発光が見られる。その内部から、轟音が離れたこの場所まで響いてくる。
「ムーンキャンサーがどれだけ暴れようが、結局私の目的には変わりないからね」
「お前の目的……願い……」
ハルトは、やがてその考えに至る。
マスター、サーヴァント。
全ての参加者が聖杯戦争に参加する行動原理。
霧崎は、口元を吊り上げた。
「この世には、光も闇も……善も悪もない。だからこそ、誰もが望む混沌の世界を……! 誰もが善悪のない世界にする……そんなところかな?」
「そんな世界にして、何になるっていうんだ……」
ハルトは首を振った。
「誰も幸せにならない世界じゃないか……っ!」
「別に。そうだね……」
霧崎は、目を細めながらイリスがいる見滝原中央駅を眺める。
いや、彼の目は、何も捉えてなどいない。駅の方角の虚空を見つめている。
そうとしか、ハルトには思えなかった。
「どうだっていいんだ。ただ私は、そうして世界を壊したいだけなんだから」
霧崎は空を見上げた。
見上げる月。雨雲の合間に見える、白く美しい衛星を見て、霧崎の目に光が宿ったように見えた。
「この世界なら、彼の目も届かないだろうしね」
「アンタの身勝手な破滅願望なんて、止めてみせる……! 今、ここで!」
ハルトはそう言いながら、ドライバーオンの指輪を使った。
銀色のベルトが、ハルトの腰に装着される。ベルトを操作し、変身待機状態にさせた途端、霧崎の手から再び黒い稲妻が放たれる。
「っ!」
変身を中断し、三度防御の魔法。
ダメージは防げたが、衝撃を全て殺しきれず、体に走った痛みに膝を折った。
「ぐっ……!」
「おやおや……もうどこかで戦ってきたのかい? ボロボロじゃないか。そんな体で、よくもまあ戦おうとするね」
そのまま、霧崎はアイマスクを取り出す。すでに解放済みのそれを見ながら、ハルトはベルトを起動させた。
雨が、どんどん強くなる。雨音によって、ウィザードライバーの詠唱が全く聞こえなくなっていた。
「変身」
霧崎がトレギアへ変貌するのと、魔法陣によってウィザードの姿が現れるのは同時だった。
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