§41 超神話黙示録
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ているのだが。まぁ直接回避するよりはましだろう。
「恵那の救出どころじゃあない、か」
教主も居ないし護堂も居ない。須佐之男命も居ない、とないないずくしの現状では我儘を言ってはいられない。戦力は無いのに、守らなければならない対象は多い。
「しゃーない。――我は時を刻むもの。満ちて、引け。汝の時は我が手の内に」
時が、止まる。時詠により無限に加速した時間の中で黎斗は大聖の背後に周り込む。久々の超加速だ。ここまで加速度を上昇させると長くは保たないし消耗も激しい。神速レベルまで加速度を落とせばそれなりの時間維持は可能だが、心眼を使う大聖相手にその程度では心もとない。
「定義。斉天大聖。定義。恵那。両者の縁を断ち切らん!!」
黎斗の紡ぐ言霊が、彼の右手を燃やし始める。深紅に染まるその腕は、寸分の違いなく大聖の背後に吸い込まれ――切り裂く。
「よっ、と」
崩れ落ちる恵那を拾い、全速離脱。大地に着く寸前、軋む音。それは停止する世界の終わり。そして世界は動き出す。
「ん…… れーとさん?」
恵那が、ゆっくりと目を開ける。やはりというべきか、衰弱っぷりが酷い。
「また、助けられちゃったね。あはは……」
「喋らなくて良いから、ちょっと休んで」
「駄目だよ。いくられーとさんが強くてもかみさま相手に敵うはずがないよ。草薙さんを呼ばないと」
「大丈夫だから」
護堂は、まだ駄目だ。ヴォバンが来ているのならば、彼にはそっちを抑えてもらわねばならない。最悪こっちに呼ぶと、ヴォバンもこちらに誘導しかねない。被害を抑えつつ、目の前の猿とヴォバンを倒す。勝ち筋を見つけ出し、どんな状況下でも勝利するのが神殺しの魔王たる所以とはいえ、これは難易度がぶっ飛びすぎだ。
「ジュワユーズ。恵那を安全な所まで護衛して。お願い」
自身の影に声を伝える。影が揺らめき、一人の少女が姿を現す。虹色に輝く髪を持つ美少女だ。表情に起伏はあまり見られず、幼げな容姿。背丈も黎斗の腰ほどまでしかない。小学校低学年といっても通じるほど。
「やれやれ。久々の呼び出しかと思えば。まぁ、了解したぞ我が主よ」
だがそれは彼女が戦力外ということではない。シャルルマーニュの愛剣として名を馳せた彼女は、デュランダルの姉妹剣だ。その柄には聖槍が埋められているという。聖槍の所有者たる黎斗の元にいる以上、彼女は常に聖槍の加護の元にあるも同然。本来以上の性能を引き出すことができる。聖騎士級程度ならある程度相手取ることも不可能ではない。おまけにロンギヌスを通じてある程度の念話によらない意思疎通も可能。こういう別行動
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