第九話 聖バルテルミーの虐殺その十八
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それ自体がだというのだ。
「何よりも最高の学問です」
「最高の」
「はい、そうです」
「その言葉は嬉しいね」
先生は十字の言葉にだ。笑顔を向けた。
「美術部の顧問としてはね。そういえば佐藤君は」
「僕が何か」
「この前のテストだけれど」
「学校の、ですね」
「うん。またトップだったらしいね」
「確かそうでしたね」
そのことについては特に興味のない感じでだ。十字は先生に答えた。
「学年で」
「そう。凄いよ」
素っ気無い十字に対してだ。先生はかなり興奮している感じで言う。
「そんな。二回連続トップっていうのも。しかもね」
「しかも」
「全教科殆ど満点だし」
それもまた凄いというのだ。
「佐藤君本当に東大行けるよ」
「東大ですか」
「しかも法学部に」
先生の言葉はさらに興奮したものになっていた。表情も上気したものだ。
だがその先生とは対称的にだ。十字は仮面の顔で言うのだった。
「大学はです」
「大学は?」
「イタリアの大学を」
その大学だというのだ。十字は。
「それがいいです」
「海外かい?」
「イタリアの大学が好きですから」
だからだというのだ。
「そう考えています」
「凄いね。まあとにかくね」
「はい、頑張ります」
こう話してだった。十字はだ。
勉強のことは特に意識せずに絵に専念した。そうして描きながらだ。絵の中にあるものについて考え動こうとも考えていたのだ。絵を描きながら。
第九話 完
2012・3・20
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