第九話 聖バルテルミーの虐殺その十六
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十字は淡々とだ。また述べたのだった。
「特にね。それでもね」
「いいのね」
「そう、いいから」
また言ったのだった。
「そんなことはね」
「いいって」
「そう、いいから」
十字は言っていく。
「人に嫌われるとかそんなことはどうでもいいことだよ」
「随分強気ね」
「神がおられるから」
これが十字の返答だった。
「だからいいんだよ」
「あのね、神様神様っていうけれど」
「それは駄目っていうのかな」
「御坊さんじゃあるまいし。っていうかもう御坊さんなのかしら」
「そうだよ」
まさにその通りだとだ。答えた十字だった。
「僕は神にお仕えしているからね」
「言い切ったわね。じゃあ本当に女の子に興味がなくて」
「興味はあっても誘いにも乗らないし遊びもしないよ」
この返答をだ。また言った十字だった。
「それだけだよ」
「そうなのね」
「そうだよ。だからいいよ」
十字は言っていく。
「それに今言った」
「嫌われるってこと?」
「神にお仕えするからには誰かに嫌われることを恐れてはならない」
十字はまた言った。
「そんなことはね」
「また言い切ったわね」
「実際にそうだから」
まさにだ。それ故にだというのだ。
「人は人でしかないけれど神は全知全能にして全てを司り。そして」
「そして?」
「全てを御覧になられているから」
それ故にだとだ。述べる十字だった。
「いいんだよ」
「変わってるわね。っていうかね」
「というか」
「おかしいわね、佐藤君って」
雪子はうんざりとした顔になってそのうえでだ。十字に対して述べた。その声にも彼女の感情が露わになっている。そのうえでのことだった。
「そんなこと言えるなんて」
「おかしいのかな」
「おかしいわよ。ともかくね」
「何かな。今度は」
「もういいわ。誘わないから」
今度はやれやれといった顔で言う雪子だった。
「声もかけないから。それでいいわよね」
「いいよ」
またこう返した十字だった。
「別にね」
「わかったわ。じゃあね」
「うん。それじゃあね」
こうやり取りをしたうえでだ。雪子は十字の前から消えた。十字はその彼女を見送ることもしなかった。そうして彼の食事をして食堂を後にしたのだ。
そのまま昼休みもだ。部室に入った。そのうえで自分の絵を描く。部室にいたのは最初は彼一人だった。だがそこにだ。顧問の先生が来た。
先生は十字がキャンバスの前に座ってそのうえで絵を描いている十字を見てだ。こう言った。
「あれっ、お昼もなんだ」
「はい、部室を使わせてもらっています」
「いや、部室はい
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