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一児の母のスタイルでないので
第一章

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                一児の母のスタイルでないので
 夫の榊原敦弥の提案を聞いてだ、妻の恵美子はそういえばという顔になって言った。やや丸顔で顎の先が尖っていてはっきりとした目に細く斜め上に一直線に向かった眉に小さなピンクの唇と普通の高さの鼻で背は一六一程だ。黒い腹まではある髪の毛を後ろで束ねている。
「プールね。そういえば大学に行ってから」
「行ってないだろ」
「海だってね」
 こう夫に返した、一七五位の背で痩せてきりっとした細く強い光を放つ目で薄い唇で黒髪を後ろに撫で付けている夫に対して。
「行ってないわ」
「もう結子も五歳だろ」
 母に寄り添っている小さな娘も見て言った、二人の娘で母親そっくりの顔で髪型もかなり似ている。
「泳ぎもな、触れる位でもな」
「教えないと駄目ね」
「もうちょっとしたらスイミングスクールに行かせてもいいけれどな」
 そこで水泳を本格的に教えてもらうというのだ。
「いざって時泳げるといいしな」
「溺れないからね」
「そうしたことも考えてな」
「今度プールに行くのね」
「そうしような」
「わかったわ」
 恵美子は夫の言葉に頷いた、娘のことが主なのでそれならとなった。そうして県庁所在地がある市のプールに行った。
 そしてそこでだ、彼女は娘と共に水着に着替えてプールサイドに出た、そのうえで先に着替えて待っていた夫に言った。
「お待たせ、じゃあ今から準備体操して結子をお水に入れてあげましょう」
「あっ、ああ」
 夫は妻の言葉に応えた、だが。
 彼女を見た瞬間ごくりと喉を鳴らした、そして。
 表情を変えてだ、妻に言った。
「おい、すぐに下パレオ付けて上何か羽織るんだ」
「どうしたの?」
「いいからな、あと結子は俺がプールに入れるから」
 妻に真顔で言ってきた。
「お前はプールサイドで何かとしてくれ」
「どうしたの?」
「いいからすぐにだ、パレオと羽織るもので完全に武装しろ」
「武装しろって」
「いいからな、あと今夜は飯食ったらすぐに結子寝かしてな」
 夫は真顔でさらに言ってきた。
「風呂入る前にな」
「まさか」
「そのまさかだよ、いいな」
 こう言ってだった。
 恵美子はすぐに下はプールでレンタルしたパレオ上は着て来たブラウスを着せさせられた。そうしてだった。
 プールの中ではなくプールサイドにずっといさせられた、夫は娘に率先して熱心に水に入れて泳ぎを簡単でも教えた。
 そして家に帰るとだ。
 早い夕食の後で娘を寝かせると二人で夫婦の寝室で餓えた猛獣の様になった。その後で恵美子がシャワーを浴びると言うと。
 自分もと言って来てそれで浴室でも猛獣の様であった、その後で。
 夫婦のベッドに戻ってだ、夫は隣にいる妻に聞いてきた。
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