暁 〜小説投稿サイト〜
おぢばにおかえり
第七十一話 詰所の中その二十六

[8]前話 [2]次話
「私も思うわ」
「そう思うからです」
「新一君は尊敬されたくないのね」
「期待されることも」
「そうなのね」
「そりゃ尊敬とかされたら嬉しいですよ」
 この気持ちはあるというのです。
「やっぱり」
「誰でもそうよね」
「ですが裏切ったらって思うと」
「失望させたらですか」
「辛いですから」
 それでというのです。
「僕は尊敬されたくないです」
「そうした考えなのね」
「それで自分を尊敬するとか真顔で言う人なんて」
「嫌いなのね」
「心底軽蔑します」
「軽蔑って新一君先輩がその言葉言ったって聞いて怒ったわよね」
「今も怒ってます」
 相変わらずの全否定でした。
「間違ってもああはなるまいって思ってます」
「反面教師の中の反面教師ってことね」
「はい、その全てが大嫌いなんで」
「絶対にそうはならないって思ってるのね」
「そうです、一挙手一投足までああはなるまいって。煙草も絶対に吸うものかって」
「その人煙草吸うのね」
 このことがここでわかりました。
「そうなの」
「はい、ですが僕元々煙草吸わないって決め手いまして」
「大人になっても」
「ですが余計にです」 
 その人を見てというのです。
「絶対に吸うものかって思ってます」
「煙草が身体に悪いのは事実だけれどね」
 だから私も吸うつもりはありません。
「けれどね」
「それでもですか」
「新一君が嫌いな人や物事を徹底的に嫌い抜く癖性分をなおすことはかなり難しいわね」 
 心から思うことでした。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ