第二章
[8]前話
「学校の外じゃこれまで通りね」
「姉ちゃんでいいか」
「私も邦臣君って呼ぶから」
「じゃあ学校じゃ何て呼ぶんだよ」
「宮田さんよ」
邦臣に笑って返した。
「そう呼ぶからね」
「学校じゃそうか」
「そう、じゃあ実習の間宜しくね」
笑って告げた、そしてだった。
有里は実習を行っていった、その中で。
邦臣は真面目で熱心でかつタイトミニのスーツの色気をいつも見せている有里ばかり見ていた、そうして己の内の気持ちをだ。
やがて我慢出来なりだしていた、その中で。
部活を終えて下校する時にだ、家の最寄りの駅で有里に会った、それでだ。
思わず彼女のところに駆け寄った、そこで彼女に尋ねた。
「姉ちゃん今帰り?」
「そうよ、邦臣君は部活?」
「テニスの。もうすぐ引退だけれど」
「三年生だしね」
「そうなんだよ」
「私も今日で実習終わりなのよね」
有里は笑って自分の話をした、二人で駅から家まで歩いて進みながら。
「邦臣君は引退で」
「そうなんだ」
「だからもう先生と生徒じゃなくなるわね」
邦臣に顔を向けてくすりと笑って話した。
「幼馴染み同士に戻るわね、だからね」
「だから?」
「・・・・・・今日うちお父さんとお母さんいないの」
顔を赤くさせた、そのうえでの言葉だった。
「お兄ちゃんもね、わかるでしょ」
「えっ、姉ちゃんまさか」
「そのまさかよ。実習の間ずっと私のこと見てたでしょ」
このことを告げた。
「気付いていたから。子供の頃からね」
「えっ、それは」
「わかっていたから。これからはね」
「先生と生徒じゃなくなって」
「幼馴染みでもね」
その間柄でもというのだ。
「なくなるわ。いいかしら」
「それじゃあ」
「ええ、来てね」
「う、うん」
邦臣に選択肢はなかった、それでだった。
この日は有里の家に寄った、それから家に帰ると母に遅かったわねとにやにやとしながら言われて何もなかったと見え見えの嘘で応えた。
邦臣は部活を引退すると受験勉強に専念した、そして。
有里がいた大学に進学し彼女と交際を続けつつ勉学に励んでだった。
卒業して就職した時にプロポーズした、二人は幼馴染みから先生と生徒になり恋人同士になってだった。
夫婦になった、そのうえで幸せに過ごしていった。ある姉さん女房の夫婦の話である。
幼馴染み先生 完
2022・9・20
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