第一章
[2]次話
大阪の昔の言葉
「大阪じゃこう言うんや」
「何てや」
「悪い言葉やがアホが役人になる」
宗谷義重は孫の二郎に話した。
「そう言うんや」
「何でや?」
「商売人とかになったら自分の才能次第で幾らでも儲けられるやろ」
義重は孫にこうも話した。
「そやろ」
「それがお役人やとやの」
「決まった給料しか貰えんからな」
それでというのだ。
「そう言うんや」
「そういうことか」
「お前野球やってるやろ」
祖父は孫にこのことも言った。
「それやろプロ野球選手になってや」
「メジャー行ってか」
「そこで無茶苦茶稼げるやろ」
「才能あったらな」
「これが会社やっても作家やっても同じでな」
それでというのだ。
「アートでも料理人でもや」
「何でもかいな」
「己の腕次第でや」
それでというのだ。
「幾らでも儲けたらええんや」
「それが大阪やな」
「そや、覚えておくんや」
「そうするわ」
それならとだ、二郎も頷いた。
その後彼は野球は部活だけだったが。
大学に入ってCGやサイトの作成で才能を発揮してだった。
そういった企業に入り色々なデザインやイラストそれに音楽まで作成しそちらで売れっ子となった。それを見てだった。
年金生活に入ってかなり経つ祖父は笑って話した。
「そういうことや」
「自分の才能次第でか」
「それこそな」
面長で色白で小さい素朴な顔の青年になった孫に話した。
「幾らでもな」
「儲けられる様にするのがやな」
「大阪人でな」
それでというのだ。
「何とやら、アホがな」
「役人になるって言うたのもやな」
「そういう話や」
「自分の才能次第で幾らでも儲ける」
「それが大阪人や、ただな」
ここでだ、祖父は。
孫に笑ってだ、こうも言った。
「別に儲けることが絶対やない」
「儲かりまっかの街でもやな」
「儲けんでも生きていけるしな」
「それやとやな」
「もう安定してな」
そうしてというのだ。
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