第九話 聖バルテルミーの虐殺その十一
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「それは御前と同じだよ」
「そうよ。善人ぶっている奴とかね」
それに加えてだと。雪子は忌々しげな口調でまた言った。
「それと純愛とかね。そういうのはね」
「大嫌いだね」
「虫唾が走るわ」
雪子の笑みがだ。さらに邪悪なものになった。
「無茶苦茶にして潰してやらないとね」
「気が済まない」
「そんなね。正義とか道徳とかそういうのは」
「僕達の好きなものじゃないからね」
「何?近親相姦の何処が悪いのよ」
雪子の今度の顔は忌々しさに満ちたものだった。
「兄妹の間で何かをしたら駄目ってね」
「結婚もできない」
「そうなっているからね」
「それに。正義だね」
「何それって思うわ」
雪子の考えだった。全て。
「悪いことをすることが気持ちがいいのよ」
「確かに。僕もそうだよ」
「その点叔父様は素晴らしいわ。塾の可愛い娘を次々に犯したりね」
「いいね。ああした悪辣さはね」
「そう。だからね」
それでだというのだ。
「私叔父様が大好きなのよ」
「その通りだね」
「そうだね。それじゃあ今日は」
「叔父様は出張だったかしら」
「何処だったかな。広島だったかな」
「そこでまた、よね」
「そうみたいだね。楽しむみたいだね」
一郎もだ。その顔に邪悪なものを含ませた笑みを浮かべた。知的だがその奥底にはこのうえなく卑しいものがある、そうした笑みになっての言葉だった。
「どうやらね」
「今度は何歳の娘に手を出すのかしら」
「この前は九歳だったかな」
「いえ、六歳よ」
幼女だった。明らかに。
「まだ初潮も来ていない娘を犯すのもいいものだって言ってるわ」
「ふうん、六歳だね」
「そう。小学校に入ったばかりのね」
そうした幼女をだ。由人は犯したというのだ。
「そうしてらしたわ」
「幼女はそんなにいいのかな」
「兄さんは幼女には手を出していないの?」
「一回抱いてみたよ」
そうした経験はあるというのだ。一郎もだ。
だがそれでもだ。彼はこのことについては何でもないといった顔で雪子に答えた。
「けれど。どうもね」
「趣味じゃなかったのね」
「特にいいとは思わないね」
実に素っ気無く答える彼だった。
「だから一度だけだよ」
「叔父様のお下がりの娘ね」
「もうかなり薬物中毒が進行していたね」
一郎が犯した、その幼女はだというのだ。
「十歳だったけれどね」
「十歳ね。初潮もまだよね」
「ええ、まだよ」
そしてその幼女をだ。一郎、そして由人は犯した。そしてそのことについてだ。一郎は罪悪感なぞ全く感じてはいなかった。無論由人もである。
その兄に対してだ
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