233 屋敷の少年と少女
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を提供してくれたのだ。だが、この少年もまだ我々に味方しているとは思い難い時も感じるがな」
りえはレーニンに何らかの強い威圧感を感じた。戦争主義の世界の長であるからだろうか。レーニンの姿が杉山の姿に戻る。
「ところで紂王とか言ったな。こいつはこれからどうするつもりなんだ?」
「ああ、あの少年が恋に落ちた小娘と聞くからな。近いうちに祝言を挙げるつもりだ」
(シュウゲン・・・?)
「そうか、お前も乙女だったんだな。じゃあな」
「あ、ちょっとっ!!」
りえは呼び止めようとするも、杉山は行ってしまった。
(乙女・・・)
りえは夏休みに会った時、自分が教会のピアノで「亜麻色の髪の乙女」を弾いていた事で他の清水の友達からは自分にぴったりと言われたが、杉山から否定された。しかし、今、杉山から肯定されてりえは杉山に対して憤りや心の痛みとは違うものを感じていた。
杉山は紂王に頼む。
「次は藤木の部屋に連れてってくれ」
「ああ」
杉山は紂王によって別の部屋に連れて行かれた。
「少年よ、客人だ。お前の知り合いらしいぞ」
「知り合い?」
部屋の奥から聞いた事のある声が聞こえた。
「それじゃ、後は二人で話をしてくれ」
紂王は部屋から出た。杉山は部屋に入る。
「す、杉山君!?」
その場にいたのはクリスマス・イブの日から行方不明になっていた少年・藤木茂だった。
「やっぱりお前はここにいたんだな」
「杉山君こそどうしてここにいるんだい!?」
藤木からしたらこの地で学校の友達に会うとは驚きで連れ戻されるとか、逃げた卑怯者とか非難される運命にあると思い、恐怖心しかない。
「安心しろ。手出しはしねえ。お前が無事かどうか確かめに来たんだ」
「この通り、全然平気さ・・・」
(そりゃ、妲己さんや紂王さんにはお世話になってるし、可愛い女の子達とも色々遊ばせて貰ってるんだ。元の世界に帰っても卑怯呼ばわりされて嫌な目で見られるだけだし、笹山さんにも嫌われたんだ。絶対に戻らないぞ・・・!!)
「まあ、お前が無事ならそれでいいさ。それじゃ、楽しくやってくれ。じゃあな」
杉山はそう言って部屋を出ようとした。
「あ、待ってくれよ!」
「ん?」
「杉山君は僕を連れ戻しに来たんじゃないのかい?」
「いいや、それは俺の役目じゃねえよ。あいつと会えて良かったか?」
「りえちゃんの事かい?うん、でもりえちゃんは何か嬉しそうじゃなかったよ」
「・・・そうか。でもお前、あいつ好きだったんじゃなかったか?それでも自分で幸せにさせてみろよ」
杉山はそう言って部屋を出ていった。
(お前も『あいつ』が好きなんだよな・・・)
杉山は何かを思いながら部屋を出た。
杉山が部屋から出た後、藤木は考える。
(そういえば、僕は夏休みにりえち
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