233 屋敷の少年と少女
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かよ子は杖を奪った奥平を追う為に羽根を飛ばし続ける。
(私の杖を返して・・・!!)
かよ子はそう願いながら先へ進む。
「山田かよ子、本部守備班を担う長山治にもう一度杖の行方を探ってみたらどうだ?もしかしたら別の人間の手に渡っている可能性もあるかもしれん」
「う、うん・・・」
かよ子は通信機を取り出す。
「こ、こちら山田かよ子。長山君、聞こえる?」
『や、山田?どうしたんだい?』
「取られた私の杖なんだけど、まだ赤軍の人が持ってるの?それとも違う人が持ってるの?」
『今、探してみるよ!』
長山は捜索の為、一旦通信を中断した。
(どうか、場所が解れば・・・!!)
かよ子は杖が他の手に渡らない事を祈っていた。何しろ先程ジャコバン派の人間や佐々木規夫と戦っている間に杖が他の人間の手に渡っていたら方向転換を余儀なくされてしまうからである。そして、長山からの返答が戻ってきた。
『こちら長山治、山田、今杖は引き続きさっきの赤軍の人が持ってるよ。でも・・・』
「でも・・・!?」
『その赤軍の人は大きい城のような家に入っていった!』
「ええ!?その家にはどんな人が住んでるの!?」
『待って、よく確かめさせてくれ。ええと、赤軍は杖を誰かに渡している!相手は女王のような人だ!』
「女王のような人・・・!?」
かよ子は「女王」という言葉で何かしらの緊張感を覚えた。その杖を渡された人物はかなり手強いのではないかと・・・。
紂王の屋敷。戦争主義の世界の長は今「杉山さとし」として杯の持ち主と対面していた。
「杉山君っ・・・!?」
りえは自身が追いかけていた男子ととんでもない会い方をして言葉が何も出なかった。
「りえ、ここに来て気分はどうだ?」
「こんな所不気味で嫌よっ!早く出ていきたいわっ!!」
「だがよ、確かめてえ事があんだよ。お前が会ったっていう男子は藤木か?」
「藤木君っ・・・!?え、ええ、会ったわよっ・・・」
「そうか、藤木はここにいるって解った訳だ」
「それで私はいつになったらここから出られるのよっ!?」
「それは俺も決めてねえし、山田達がここに来次第だな」
「決めてないってっ!?」
りえは憤怒とも悲痛ともいえる反応を示した。
「兎に角、一つ言える事はお前を生け捕りだ。暫くここにいて貰う。殺す気はねえから安心しろ」
「安心できるわけないでしょっ!!杯はどこにあるのっ!?私の友達はっ!?」
「それは言えねえよ。実は俺も『こいつ』もまだ確認してねえからな」
「『こいつ』っ・・・?」
杉山の姿が変わった。
「私の事だ」
別の男性の姿に変化した。
「あ、あなたはっ・・・?」
「私はこの世界を統治する者・レーニン。偽物の杯に杖、護符のせいで身動きが取れずにいたが、この杉山さとしが身体
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