第九話 聖バルテルミーの虐殺その十
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応えてからだ。雪子は剣呑な目で右手に持っているその注射針を己の顔の前に持って来てだ。そうして悪魔の様な笑みで見てこう言った。
「これはね」
「まさに堕落の薬だからね」
「そうね。しかもこれを打ってから遊べば」
どうなるのか。雪子はその笑みにさらに邪悪なものを含ませて言った。
「もう病み付きになるから」
「それにしても彼は」
「あいつが?」
「随分潔癖症みたいだね」
雪子から聞いた話をだ。一郎はそのまま返したのだ。
「そうみたいだね」
「そうね。確かにね」
「潔癖症なのはやっぱり」
「坊主だからね」
十字が教会に住んでいることからだ。彼をこう呼んだのである、
「だからこそむかつくのよ」
「善人ぷっている人間はね。どうもね」
「兄さんだってそうよね」
「うん。好きじゃないよ」
含み笑いでだ。兄は妹に返した。
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