第一章
[2]次話
議員も大変
ある県では結構名前が知られている私立高校に通っている竹山隼人の父の隆夫は県会議員である、その為忙しい日々を送っているが。
その彼について友人達から聞かれるとだ、隼人はいつもこう言っていた。
「あまりいいものじゃないぞ」
「えっ、そうか?」
「政治家って凄いだろ」
「しかもお前の家ってこの辺りの代々の大地主だろ」
「マンションも山も駐車場も幾つも持って」
「国道沿いとか市庁舎の周りにもテナント出してるじゃないか」
「それがだよ」
太く眼鏡をかけて黒髪をセンターに分けた顔で言う、背は一七四位で身体つきは全体的に丸い。水色のブレザーと黒のズボンにえんじ色のネクタイと白のブラウスの制服が結構似合っている。
「お金ってあればある程さ」
「使う?」
「そうなのか?」
「お金持ちでもか」
「そうだよ、お付き合いとかあって」
それでというのだ。
「色々使うし選挙になったら」
「選挙には勝ってるだろ」
「お前の親父さんそうだろ」
「いつも勝ってるじゃないか」
「いや、選挙ってお金かかるだろ」
隆夫はクラスメイト達に真顔で話した。
「宣伝やら何やらで」
「政治にはお金がかかる」
「よく言われるな」
「そうな」
「確かにな」
「落選したらな」
それこそというのだ。
「政治家なんて只の人だしな」
「プータローか」
「一気に無職か」
「それに真っ逆さまか」
「そうなりたくなかったらお金沢山使って」
そうしてというのだ。
「当選しないといけないだろ、しかもな」
「しかも?」
「しかもってまだあるのかよ」
「うちの親父三人姉弟の末っ子でな」
そうした兄弟関係でというのだ。
「叔母さん二人も旦那さん達も別に仕事してるから実家のこともだよ」
「やらないと駄目か」
「政治家のお仕事だけじゃなくて」
「そっちもか」
「しかもいつもちゃんと生きてないとな」
隆夫はこうも話した。
「スキャンダルになるしな」
「ああ、あるよな」
「選挙違反とか収賄とか」
「女性問題とかな」
「色々あるな」
「だからいつも気をつけないといけないしな」
身の回りのこともというのだ。
「そっちも大変だよ、それで僕だってな」
「何かあるとか」
「言われるか」
「そうなるか」
「そうなるからな」
だからだというのだ。
「政治家ってな」
「いいものじゃないか」
「何かと大変か」
「そうしたものか」
「威張っててもスキャンダルやらかした時と同じだよ」
その場合と、というのだ。
「本当にな」
「選挙に負けるか」
「投票してくれなくなって」
「そうなるか」
「政治家って嫌われたら終わりなんだよ」
その時はというのだ。
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