第二章
[8]前話
「どうして絶対に一割が怠けるのか」
「これが集団、群れの特徴の一つなんだよ」
「群れのですか」
「そうなんだよ、どんな状況でも九割は熱心に働いて」
そうしてというのだ。
「残る一割はな」
「怠けるんですか」
「それで怠け者をどけてもな」
「また一割が怠けるんですね」
「集団の中でだ、どうやってもな」
怠け者をどけていってもというのだ。
「それでもな」
「怠け者が絶対に出るんですね」
「一割はな」
これ位はというのだ。
「そうなんだよ、これも集団そして群れのな」
「特徴の一つですね」
「これは蟻だけじゃないんだよ」
ゴーはクーラにこうも話した。
「わかるよな」
「人間もですね」
「そうなんだよ」
まさにというのだ。
「同じなんだよ」
「そうですか」
「面白いだろ、集団の中にいるとな」
「一割はですね」
「絶対に怠けるんだ」
そうなるというのだ。
「九割の働き者に安心してか甘えてかな」
「無意識のうちに」
「そうなるんだ」
「蟻も人間も」
「そうだ、他の生きものもな」
「不思議ですね、蟻がそうなることもですが」
「人間もそうだってな」
ゴーは自分からこう言った。
「それで他の生きものもだよ」
「働き者ばかり集めてもですね」
「一割は怠けるんだ」
「誰もが熱心に動かないですね」
「そうなんだよ」
まさにというのだ。
「これがな」
「本当に不思議ですね、ですが面白いですね」
「そうだろ、かなりな」
「ええ、じゃあこれからもここで」
「色々やって見ていくな」
「そうします」
クーラはゴーに笑顔で応えた、そのうえで彼にこうも言った。
「じゃあ今から」
「どけた蟻達をな」
「元の水槽に戻してあげましょう」
「そうしような」
二人で話してだった。
実験が終わると一時隔離していた怠けていた蟻達を元の水槽に戻した、すると彼等のうち幾分かは真面目に働き少しの者が怠けた、二人はそんな彼等を見て笑顔になっていた。
蟻を使っての実験で 完
2022・9・19
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