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冥王来訪
第二部 1978年
ソ連の長い手
恩師 その5
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くして、身構える。
「大丈夫だ。味方を連れて来た」

 ヤウク少尉は、機体のメインカメラを上空の方に動かす。
銀色の塗装の戦術機が20機以上。左肩には黒地の塗装にしゃれこうべの文様……
確か、米海軍第84戦闘飛行隊の文様のはず。
米海軍の部隊が、何故ここに……

 唖然とするヤウクやカッツェを尻目にヘンペル少尉は、勢いよく喋り出す。
「丁度、第84戦術歩行戦闘隊が、ドイツに表敬訪問してくれたのさ」
彼は軍事全般に詳しく、東西両陣営の兵器にも明るかった。
「元々1955年7月1日にオシアナ海軍航空基地に発足した米海軍第84戦闘飛行隊。
それを元に、戦術機部隊に改組して、作ったのがこの部隊さ」
機種や車種を見ただけで製造年度や年式が判る程の知識の持ち主でもあった。
「元々は放浪者という綽名だったけど、1959年4月15日に第61戦闘飛行隊が解体されてから海賊旗を引き継いだ」
唯、欠点もあって、一度自分の持っているうんちくを話し出すと止まらない悪癖があったのだ。
「1964年にベトナム戦争に参加したのを皮切りに……」
何時までもおしゃべりを止めないヘンペルにしびれを切らしたヤウクが釘をさす。
「同志ヘンペル、いい加減にしろ。国際回線で他国の軍隊に筒抜けだぞ」

 再びヤウクが、対岸に意識を戻すと、目の前にいたソ連赤軍の部隊はかき消すように姿を消していた。
傷つき、斃れたゲルツィン大佐を見捨てて、尻尾を撒いて逃げ去った様に呆れた。
それと共に、血みどろの大佐の亡骸を抱き上げて、立ち竦むユルゲンの姿を遠くより見守っていた。




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