第九話 聖バルテルミーの虐殺その七
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「それがなあ」
「ああ、御前トマト嫌いだったな」
「それでだよな」
「嫌だってんだな」
「イタリア料理とかだと大丈夫なんだよ」
望はランニングをしつつだ。共にいる彼等に話していく。
「けれど生だとな」
「駄目なんだな」
「生のトマトは」
「青臭いだろ」
香りからだった。彼がトマトを否定するのは。
「それに変に固いしな」
「それがいいんじゃないのか?」
「けれどそれが駄目なんだな」
「ああ、青臭いのは嫌いなんだよ」
実際にそのうんざりとなっている顔での言葉だった。
「特にトマトみたいなのはな」
「そうか。そんなに駄目か」
「どうしてもなんだな」
「そうだよ。どうしてもだよ」
そこは強く言う。走りながら。
「それでもあいつトマトは身体にいいからってな」
「料理に入れてるんだな」
「世話女房だねえ」
「おい、今の言葉何だよ」
仲間の一人の今の言葉にだ。望は顔を顰めさせて問うた。
「何が世話女房なんだよ」
「だってよ。毎日弁当作ってきてくれるんだよな」
「ああ、そうだよ」
「それって完全にじゃねえか」
「世話女房だってのかよ」
「そうとしか思えないな」
その彼はにやにやとしながら望に話す。
「傍から見てるとな」
「だよなあ。昼飯いつも一緒だしな」
「この前制服のほつれ縫ってもらってたしな」
「どっからどう見てもね」
「世話女房だよな」
それがだ。春香だというのだ。
「いい娘じゃねえか。奇麗だしな」
「胸も凄いしな」
「幼馴染だよな」
「それでずっと一緒なんだろ?」
「まあな」
幼馴染であることはだ。望も認めた。そのうえで頷く。
そしてそのうえでだ。こう言うのだった。
「幼稚園に入る前からな」
「えっ、その時からかよ」
「一緒にいるのかよ」
「その頃からか」
「そうだよ。その時からな」
まさにだ。その時からだというのだ。
望はだ。こうも言ったのだった。
「まあ。色々とな」
「世話焼いてもらってたんだな」
「あの娘に」
「あいつ子供の頃からお節介なんだよ」
とはいってもだ。望の顔はうんざりとしたものだった。
そうしてだ。こうも言ったのである。
「もうな。何かっていうと出て来てな、そうそう」
「そうそう?」
「そうそうって何だよ」
「思い出した。俺子供の頃あいつに随分いじめられたんだよ」
このことをだ。うんざりとして言ったのだった。
「それで泣かされたよ」
「へえ、あの娘いじめっ娘だったのか」
「そうだったんだな」
「そうだよ。世話焼きなのにな」
それと共にだ。いじめっ娘だ
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