見滝原中央駅崩壊
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小さき者たちを圧し潰さんと落ちていく。
「「いけないっ(ッ)!」」
敵を目の前にして、愚かにも奏者と勇者は敵であるイリスではなく、下に散らばる人間たちのもとへ駆けつける。
それぞれが、巨大になった腕で瓦礫から人間たちを庇う。
「友奈ちゃん、響ちゃん! 急ごう!」
「うんッ!」
「そうだね!」
イリスが落ちていった天井の穴から、可奈美、響、友奈は次々に突入していく。
中心が吹き抜けとなり、各階のテナント店舗が一望できる構造の見滝原中央駅の駅ビル。
その中心で、イリスは落ちながらもキャスターと光線を打ち合っている。
それぞれが、人間など容易く破壊できる威力を持つ。一撃一撃が発射されるたびに、誰かが命を落としかねない。
「みんな、早く逃げて!」
可奈美は両者の流れ弾を相殺させながら叫ぶ。
地上階に降り立った可奈美は、そのまま吹き抜けの中心から全フロアを見渡す。
目を凝らすと、可奈美の目が緑色の光を帯びていく。途端に、可奈美の五感は研ぎ澄まされ、壁の向こうであっても視認することができた。
「……! 友奈ちゃん! そこのフロア、洋服屋の試着室に二人! 上の本屋に三人いる!」
「ここに? 任せて!」
「響ちゃん! 最上階の玩具屋と、向かいのオーディオ屋にそれぞれ二人ずついる!」
「了解ッ!」
響と友奈は、それぞれ可奈美の指示に従い、それぞれの店舗に突入する。
煙が立ち込めるたびに、数秒で彼女たちは要救助者を連れ出し、外へ逃がしていく。
可奈美はその場に立ち止まったまま、さらに続ける。
「友奈ちゃん! 響ちゃん! 二人とも、それで全員だよ!」
「オッケーッ!」
絶唱と満開。それぞれ共通する巨大な腕に、より多くの人々を乗せ、二人のサーヴァントは地上の入り口へ降り立つ。
それぞれから降りた人々は、助けてくれた者へ礼を言い、蜘蛛の子を散らすように逃げていく。
「お前……その力は?」
可奈美の隣に降り立ったキャスターが、祭祀礼装を目深く凝視した。
「あの素早さ……通常の刀使では、到達しえないもの……一体何だ?」
「えへへ。これは尊敬する人から受け継いだ、私の新しい力だよ!」
可奈美は笑顔で応える。
さらに、響、友奈も可奈美の隣に並ぶ。
三人は顔を合わせて、頷き合う。
そして。
屋内という狭い領域の中で、イリスは参加者達を潰そうと、再び唸り声を上げたのだった。
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