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イベリス
第六十七話 運動についてその五

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「凄いことは凄いでしょ」
「それはね」
 咲も頷いて応えた。
「やっぱり」
「あの二人が凄い能力だったことはよ」
 このことはというのだ。
「紛れもなくね」
「事実なのね」
「二人共ね」
「やっぱり凄くないと」
「独裁者なんかよ」
「なれないのね」
「そもそもね」 
 こう言うのだった。
「なれないわよ」
「政治力があって」
「統率力があってね」 
 そうしてというのだ。
「頭がよくて勘も鋭くて」
「色々必要なのね」
「人を見る目もあって」
 それも必要でというのだ。
「カリスマだってよ」
「必要なのね」
「だからね」
「そうそうはなのね」
「あそこまでの人達はね」
「出ないのね」
「そうよ」
 それが現実だというのだ。
「やっぱりね」
「そんなものなのね」
「ヒトラーのカリスマなんてね」
「あっ、凄かったわね」
「ドイツ人に熱狂的に支持されたのよ」
 そのうえで政権に就いたのだ。
「そうなるなんてね」
「凄くないと」
「本当にね」
「そうはならないのね」
「あんな能力の人達はね」
「そうそう出ないのね」
「そんなものよ、だから出て来る可能性はあっても」
 それでもというのだ。
「まずはね」
「出ないのね」
「そうよ」
 それこそというのだ。
「だからそうはね」
「出ないのね」
「まずはないわ」
「そういうものなの」
「天才と言うべきだけれど」
「ヒトラーもスターリンも」
「よくも悪くもね」 
 それでもというのだ。
「政治家という意味でね」
「天才なのね」
「けれど天才は滅多に出ないものでしょ」
「希少価値があるわね」
「そう、天才はそうしたものだから」
「滅多に出ないのね」
「そうしたものよ、けれど災害はね」
 こちらはというと。
「残念なことによく起こるでしょ」
「それはね」
「ヒトラーやスターリンは警戒して滅多に出ないしで」
「避けられても」
「災害はね」
「警戒しても起こるからね」
「それもこの東京は」
 自分達の住んでいる街はというのだ。
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