第八話 絞首台のかささぎその十六
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「それはどうでしょうか」
「和食。御飯だね」
「はい、御存知の通り和食は御飯が主食です」
「白い。精製したものだね」
「その通りです。それはどうでしょうか」
「御飯は好きだよ」
出されたものは感情は見せないにしても何でも食べるのが十字だ。しかし彼も人間であるから好みがある。そしてその好みの中に米は入っているというのだ。
「リゾットでもね」
「そうですね。枢機卿はリゾットもお好きでしたね」
「あれはとても美味しいよ」
「はい。ですが日本ではです」
「炊いているね」
「それが日本の御飯の食べ方です」
「そしてだけれど」
その日本の御飯についてだ。さらに言う十字だった。
「日本の御飯を使った料理だけれど」
「色々ありますが」
「丼やお寿司も気になるけれど」
その他にもあるもの、それは。
「あのお握りというものは」
「ああ、あれですか」
「あれはどうなのかな」
「日本人の心の食べ物です」
そのお握りについてはだ。神父は微笑んでこう答えた。
「あれこそはです」
「心の食べ物。そこまで」
「はい、日本人に馴染んでいる食べ物です」
「だからあんなによく売られているんだね」
「その通りです。そしてお弁当にもありますね」
「よくあの箱の中にあるね」
弁当箱の中、そこにだというのだ。
「あの丸かったり四角いものが」
「そうですね。あのお握りはです」
「非常によく見るよ。海苔、あの変わった海草を貼ったりしているのも」
海苔もだというのだ。十字は見ていたというのだ。
「あれが日本人の心の食べ物なんだね」
「御味噌汁も然りです」
神父は次には。これも話に出した。
「あれもまた。日本人の心の食べ物です」
「あの味噌というものを使った日本のスープ」
「はい、お握りと御味噌汁の二つです」
「その二つが日本人の心の食べ物」
「まずこの二つがあります」
日本人の心にはだ。神父はそうだと十字に話していく。
「イタリアで言うならパンとパスタです」
「そこまで大事なものなんだね」
「左様です。では今度」
「そのお握りと御味噌汁を貰えるかな」
「喜んで」
神父は微笑みと共に十字に答えた。
「そうさせて頂きます」
「ではね。是非」
「楽しみにしておいて下さい。どちらも最高の料理です」
「うん。わかったよ」
十字は淡々とした口調で神父に応えた。そしてだった。
ここで無花果の最後の一個を食べ終えた。それからだ。
十字はだ。今度は神父にこう言ったのだった。
「じゃあね」
「はい、夕食はこれで終わりですね」
「食器を洗うよ」
自分で席を立ちだ。そして
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