第八話 絞首台のかささぎその十六
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
食器を手に取っての言葉だった。
「今からね」
「では私も」
「いや、神父はいいよ」
「左様ですか」
「神父はいつも作ってくれるから。だから僕は」
「洗われるのですね」
「いつも通りね。貴方達は災いである」
聖書にある言葉をだ。十字はここで言った。
「己は働くことなく人を働かせる」
「自分自身で動いてこそですね」
「神は自ら動くものを助けられる」
この言葉もだ。十字は口に出した。
「ただ」
しかしだった。この言葉と共にだ。十字はこうも言ったのである。
「動けない人もいるよ」
「そうですね。そうした人には」
「神は手を差し伸べられるよ」
「そしてその手こそが」
「神の代理人であるバチカンであり」
そうしてだった。そのバチカンにいる。
「僕達だから」
「神の忠実なる僕である」
「だから。僕は動くよ」
自分の為ではなかった。決して。
「神と。窮地にいる羊達の為に」
「では。その様に」
神父はこう静かに語る十字に恭しく頭を垂れた。そうして彼に対する敬意を見せたのだった。そうしたやり取りをしたうえでだ。二人は食器をなおし十字はそれを洗うのだった。
第八話 完
2012・3・8
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ