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展覧会の絵
第八話 絞首台のかささぎその十六
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食器を手に取っての言葉だった。
「今からね」
「では私も」
「いや、神父はいいよ」
「左様ですか」
「神父はいつも作ってくれるから。だから僕は」
「洗われるのですね」
「いつも通りね。貴方達は災いである」
 聖書にある言葉をだ。十字はここで言った。
「己は働くことなく人を働かせる」
「自分自身で動いてこそですね」
「神は自ら動くものを助けられる」
 この言葉もだ。十字は口に出した。
「ただ」
 しかしだった。この言葉と共にだ。十字はこうも言ったのである。
「動けない人もいるよ」
「そうですね。そうした人には」
「神は手を差し伸べられるよ」
「そしてその手こそが」
「神の代理人であるバチカンであり」
 そうしてだった。そのバチカンにいる。
「僕達だから」
「神の忠実なる僕である」
「だから。僕は動くよ」
 自分の為ではなかった。決して。
「神と。窮地にいる羊達の為に」
「では。その様に」
 神父はこう静かに語る十字に恭しく頭を垂れた。そうして彼に対する敬意を見せたのだった。そうしたやり取りをしたうえでだ。二人は食器をなおし十字はそれを洗うのだった。


第八話   完


                           2012・3・8
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