第三十二章 寝そべって、組んだ両手を枕に心の星を見上げる
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と認めるのであれば、それはつまり、自分を呪われた存在と認めることになる。
認めないのであれば、それは親友であるカズミちゃん、治奈ちゃん、死んだ仲間たちの存在を、否定することになる。
仮想世界だからなどと、都合よく割り切れるものではない。
わたしは……
わたしは!
「うああああああああああああああ!」
耐え切れなかった。
張り裂けそうなほどに口を開き、絶叫していた。
頭の中が、真っ白だか、真っ黒だか、わけが分からなくなって。
だけど、絶叫放ったその瞬間に、アサキは包まれていた。
温かな柔らかさの中に、包まれていた。
「大丈夫」
カズミが、アサキの身体を強く、強く、抱き締め返していたのである。
「……あたしたちが、いるだろ」
頬に頬を当て、擦るように押し付けていたのである。
優しく、微笑んでいたのである。
「ほうよ、アサキちゃん」
二人の肩を、治奈が抱え込んでいた。
大きく、腕を広げて、強く、優しく。
「カズミちゃんの、いう通りじゃ。心配ない。……生きておれば、きっとなんとかなる。仲間がおれば、きっとなんとかなる。絶望しなければ、きっとなんとかなる。アサキちゃんはいつも、絶望はしないって、いっておったじゃろが。口癖のように」
「ありがとう、治奈ちゃん。……ありがとう、カズミちゃん。二人とも……本当に、ありがとう」
二人に抱き締められながらアサキは、微笑んだ。
弱々しく、でも嬉しそうに、ちょっと恥ずかしそうに。
微笑んだ途端、ぼろり、涙が出た。
ぼろり、ぼろり、
大粒の涙が頬を伝って、上着を濡らしてしまう。
ひぐっ、
しゃくり上げたアサキは、天井を見上げて、またわんわん大声で泣き出してしまった。
「あ、あ、あり、あ、ありが、う、うれし、のに、な、涙、がっ、うっ、うわあああああああああん」
ぼろり、ぼろり。
ぼろり、ぼろり。
涙が、こぼれる。
止まらなかった。
こんなに嬉しいことはないのに。
ぼろり、ぼろり。
止まらなかった。
5
暗闇の中に、浮いている。
正確には、地に立っている。
だが、空も地面も等しく漆黒であるため、浮いているように感じてしまうのだ。
ちょっと意識を切り替えれば、この空は青色にも茜色にもなるのだが、その意識のスイッチを、ちょっとの間、切っているのである。
ここは光源のなに一つない、宇宙空間に漂う人工惑星。
太古には天に輝いていたはずの星々も、すでに朽ちている。
宇宙の終焉も近く、新たな星が誕生することもない。
そんな暗黒の中で彼女たちがものを見ることが出来るのは魔力の目が
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