第三十二章 寝そべって、組んだ両手を枕に心の星を見上げる
[6/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
い顔で、弱々しいため息を吐いた。
先ほど、義理の両親を思い出して大泣きをしたが、まだその気持ちがまったくおさまっていないのだ。
気持ちの整理が、まったくついていないのだ。
「ところでヴァイス、ふと思ったんだけど」
カズミは不意に、ヴァイスへと声を掛けた。
「なんでしょうか、カズミさん」
「あのさ、死んだ人間を生き返らすことって、出来ないのかな?」
もちろん仮想世界の、であろう。
定義にもよるが、生きている人間などこの人工惑星上にはいない。それどころか、おそらくこの宇宙上にも存在していないのだから。
アサキの気持ちを察しての、質問か。
もとから、尋ねようとしていたことなのか。
「出来ません」
いずれにしても、瞬間的に突っぱねられたが。
「魔法であれ無理です。仮に可能であるとして、それは、あなたたちにとっての『本当の世界』を否定することになりませんか?」
その言は一理、いや一理以上にあるだろう。
簡単に死者が蘇っていては、それこそゲームの世界である。
生命の価値がない世界になってしまう。
「なんだよ、残念」
カズミは、小さな舌打ちをした。
予想通りと思ったか、あまり落胆もない様子ではあるが。
「ありがとう、カズミちゃん」
アサキはカズミの質問を自分への気遣いと捉えて、心から礼をいった。ちょっとぎこちないかも知れないけれど、本心からの笑みを浮かべた。
「な、なんだよ急に」
「わたしが修一くんたちのことで落ち込んでいるから、そういうこと聞いてくれたんでしょう?」
「バカ、違うよ! スカートめくるぞ!」
「でも確かに、生き返れないというのは当然かも知れないね」
だからこそ、現実なんだよ。
もしもそれが自由にかなったら、世の中はきっと、とんでもないことになってしまう。
常識的に考えてもそうだし、それに、ヴァイスちゃんのいう「設定」を途中で覆したことにより、世界にどんな影響が出るかも分からない。
家族が死んで悲しいのは、わたしだけじゃない。
生きている者が、そこから一歩を踏めるかだ。
でも……
それじゃあウメちゃんがこの「絶対世界」にきたとしても、雲音ちゃんの魂を蘇らせることは出来なかった、ということか。
次の地球にまた生まれて、とかならばともかく。
でもそれはもう、別の人間だ。
雲音ちゃんは、もう、蘇らない。
ウメちゃんも……
悲し過ぎだ。
あまりにも報いが、なさ過ぎだ。
救いが、なさ過ぎた。
慶賀応芽の顔が脳裏に浮かび、一緒に活動したあれこれが浮かび、またアサキは元気なく俯
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ