第三十二章 寝そべって、組んだ両手を枕に心の星を見上げる
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たらどうしよう、とかなんとか心配でもしたのか。
「単なる高速昇降です。もう皆さんの身体も感覚も慣れたでしょうから、戻りは速度を抑えなかっただけです」
白い衣装の少女、ヴァイスが説明する。
「へえ、すっげえんだな。つまりこれが、西暦五千年の科学ってわけだ」
いま彼女らの存在する時代は、さらに千八百億年後の未来である。
だが、この超速移動技術が生み出された時代は、カズミのいう通り西暦五千年頃のものだ。
仮想世界の時送りに成功していれば、人類はもっと進んだ技術を手に入れることも出来ていたのかも知れないが。
「西暦だなんてとてつもない大昔、ってことは理解したけど、やっぱあたしらにとっちゃ遥かな未来なんだよなあ。ああもう、頭がこんがらがるな」
難しげな、苦い表情を浮かべるカズミであるが、ふと、難しげな表情のまま首を傾げて、むむと眉を寄せて唸った。
「あれ、そもそもあたしら、なんの話の途中だったんだっけ?」
「わたしたちの、これからすべきことだよ」
赤毛の少女、アサキが答える。
「ああ、そうだった」
「まあ、当面のところは、この現実世界や宇宙を云々というのは後回しじゃろな。まずは、仮想世界を守ること。シュヴァルツが、それを破壊しようと考えておるのなら」
「だな。フミちゃんが生きてることが、分かったんだもんな」
カズミは、治奈の肩を叩いた。
「他のみんなもじゃ! だって、世界は、あったんじゃから」
「ごめんごめん。でもよ、この世界であたしたちが頑張って、あいつらからあたしたちの地球を守り抜いて……それでどうなるんだろうな? あ、いや、もちろん守るけれども、その先に、なにがあるのかって話でな」
カズミは、難しそうな顔で頭を掻いた。
「なにかが、出来るはずなんです。あなたたち二人はともかくとして、アサキさんさえいれば」
というブロンド髪の少女の言葉に、カズミはつまらなそうにふんと鼻を鳴らした。
「栗毛ぇ、てめえは、ほんっと人の気持ちの機微が分かんねえやつだな。事実だろうと正直にいやあいいってもんじゃねえだろが」
「すみません、悪気はないのですが」
栗毛、白衣装の少女ヴァイスは小さく頭を下げた。
「とりあえずあたしらを持ち上げときゃあ、アサキがビビったりむずがったりしても、あたしらがおだててその気にさせたりとか、してやれるってもんだろ」
「承知しました」
インプット完了。ブロンド髪の少女は、小さく頷いた。
「そ、そんな、おだててその気に、とか。……必要なことなら、やらなきゃならないことなら、やるよ。わたしに、そんな力があるかなんて、分からないし……いまは、ちょっと……元気が、出ないけど」
ふう、
赤毛の少女は、弱々し
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