暁 〜小説投稿サイト〜
魔法使い×あさき☆彡
第三十二章 寝そべって、組んだ両手を枕に心の星を見上げる
[4/14]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
 痛みを感じる、身体や、心を、作ったんでしょ? 怖いものを怖いと感じる、心を作ったんでしょ? なら、生きているんだよ。……殴られれば痛いんだ。悲しい目にあえば涙が出るんだ。辛い思いなんか、したくないんだよ。悲しい思いなんか、したくないんだよ。人を信じて、繋がって、笑って、恋愛して、普通に、生きたいんだ! 生きてきたんだ! 偽物なんかじゃない!」

 声を裏返し、叫んでいた。

 知らず熱く語ってしまい、はあはあ息を切らせながらアサキは、驚きにはっと目を見開いた。我に返った途端に、気持ち萎んで弱気な表情。おずおずと申し訳なさそうな上目遣いで、ヴァイスの顔を見た。

「ごめん」

 小さく頭を下げると、赤毛がふさり揺れた。

「ヴァイスちゃんにいっても、仕方のないことなのに」 
「いえ、こちらこそ謝ります。……わたしは、これまでたくさんの仮想世界を見てきた。でも、わたし自身は、ずっとこんなところにいるから……現実にたくさんの人に囲まれて生きたことなんてないから、あなたたちがどれだけ必死な気持ちであるのかを、本心から理解することは出来ないんだ。本当に、ごめんなさい」

 ブロンド髪の少女も、小さく頭を下げた。

「あ、いや、その、いいんだよ。謝らないで。わたしの方こそ、自分の立場からだけでものをいってた。ヴァイスちゃんにも色々とあることを、全然考えもせずに。ごめんね」

 そういうと、ようやくアサキは笑みを浮かべた。
 激しく泣いた後であり、まだ目が真っ赤に腫れているため、ちょっと変な感じであったが。

「仲直りが出来たのは、まあいいんだけどよ。でも、なにをすりゃあいいんだろうな。あたしたち。この、世界で」

 カズミが腕を組んで、ぼそり呟いた。

 と、その瞬間、身体が浮き上がっていた。
 巨人の手に襟首を摘まれて引っ張られるかのように、突然、垂直に、浮上していた。
 カズミだけでなく、四人全員の身体が。

「そろそろ戻りましょう」

 白い衣装の少女ヴァイスが、手の中にある小さな機器のスイッチを押したのである。

     3
 身体が、巨大な手に摘まれ引っ張られているかのように浮き上がっている。

 と思った瞬間には、元いた部屋へと戻っていた。
 四人の少女たちは、机と寝台だけの簡素な部屋の中に立っていた。

 あまりの唐突さに、アサキ、治奈(はるな)、カズミの三人は、不思議さに口を半開きにして、きょろきょろしてしまう。

「な、なんか、ワープでもした感じだなあ。夢でも見てたような……」

 カズミが、自分の手や足、腕を上げて脇腹などを見たり、身体をぽんぽん叩いている。
 あまりの高速移動に、身体が削れていないか気にでもなったのか。
 実は陽子電送技術でハエが紛れ込んで
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ