第三十二章 寝そべって、組んだ両手を枕に心の星を見上げる
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キは涙目になった顔を赤らめ、怒った顔で拳を振り上げた。
でもすぐに、自分もなんだかおかしくなってしまって、けらけらと楽しげに笑い始めた。
「いや、ごめんごめん。でもさ、アサキがアサキ過ぎて……安心したよ」
カズミは耳から手を離すと、目尻の涙を指で拭った。そして、
「だからさ……大丈夫だよ、あたしたち。この先さ、どんな困難があろうともさ」
優しく、微笑んだ。
「話が飛躍して、よく分からんのじゃけど」
「そもそも、わたしの歌からそういう雰囲気に持ってくのやめてよ」
突っ込む二人。
まあまあ、とカズミに引き寄せられて、三人は肩を寄せ合い円陣を作っていた。
仕方ない、カズミちゃんのノリに付き合いますか。と、アサキと治奈は、笑みを浮かべた顔を見合わせた。
「あたしがあたしであり、治奈が治奈であり、そしてアサキがバカで、アホで、赤毛のアホ毛で、歌が捕まったら死刑間違いないレベルで、胸がぺったんこで、こないだお風呂で見ちゃったけど下ツルツルで、思わずブン殴りたくなる顔で、すぐ泣くクソヘタレで、お笑いセンスも最悪で、でも……誰よりも強くて、誰よりも優しいアサキであり。そんな、あたしたち三人である以上は、立ち向かう困難なんか、なにもない!」
叫ぶと同時に、カズミの寄せる肩にぎゅっと力が入る。
アサキと治奈も、つい同じように、力を込めた。
強く、肩を寄せ合い、抱き合い、真顔でお互いを見つめ合った。
なんで自分だけこんな酷くいわれないとならないんだろう、とも思うアサキであったが、
でも、
ありがとう、カズミちゃん。
なんだか、元気が出たよ。
おかげで、わたしたち三人の絆は、深まったよ。
大丈夫。
なんとかなるよね、この先。
「やるぞおーーーーっ!」
「おーーーーっ!」
カズミの音頭に、アサキと治奈は大声で叫ぶ。
そして三人、右腕を高く、天へと突き上げた。
6
暗黒の空である。
だけれども、カズミ、治奈、アサキの三人には、日の暮れ掛かる茜色の空に見えていた。
三人は、公園の傾斜した芝の上にごろり転がって、手を繋ぎ合いながら空を見上げている。
「将来の夢!」
寝転びながら、不意にカズミが叫んだ。
「な、なんよいきなり。しょ、将来の?」
「夢?」
治奈もアサキも、不意過ぎて目が点だ。
「そう! 将来の夢! あたしはねえ……金持ちと結婚してえ、子供は五人!」
「え、けけっ結婚、って、カズミちゃん……」
アサキの、点になってた目がさらに点になって、ほとんど見えなくなっていた。
「お前は、したくないんかよ」
諸々を否定されたとでも思ったか、カズミは不
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