第三十二章 寝そべって、組んだ両手を枕に心の星を見上げる
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神になれだなんて、そんなこといわれも。
そんな欲望がまったくないのだから、答えられないのは仕方がないじゃないか。
誰もが神とか、強さとか、権力とか、そんなことを望むものと思っているなら大間違いだぞ。
もちろん、出来る限りの力は貸すよ。
出来る、限りのだ。
でも、もともとが、仮想世界の中で科学技術を進歩させて技術や人類の叡智を取り出す、などといっていたんじゃないか。じゃあ計画通りに、それを進めればいいじゃないか。
時間を同期させる関係で、あと一回しか仮想地球を試せない、という話だけど。それにしたって、宇宙の終焉まであと百億年くらいあるじゃないか。
わたしはまだ十三、いや十四歳になったばかりだよ。
なんだか、話というか感覚が途方もなさ過ぎる。
途方もなくて、現実感がわかなさ過ぎる。
ヴァイスに掛けられた言葉から、そんなあれこれをアサキが思っていると、
「あたしは、歌の神様にでもなるかあ!」
カズミがバカでかい声で、アサキの心の吹き出し台詞に横槍をぶっ刺してきた。
「神の資質を持っているのは、アサキさんだけです。あなたたちは、ただ一緒にいるだけですので、履き違えないよう願います」
「なんだよ、くそ、かわいい冗談に本気突っ込みやがって。……じゃあ、じゃあ、あたしの分まで歌の神になれ、アサキ!」
「え、ええっ」
いきなり変というか恥ずかしいこと振られて、アサキは肩を震わせ、顔を赤くした。
「う、歌の、とか、いわれても、わたし……」
わたしが音痴なの、知ってるだろう。
いや自分ではそう思ってないけど、みんなメチャクチャからかうじゃないか。こんな大変な時に、あんまりふざけないで欲しいんだけど。
「大丈夫大丈夫」
「なにが大丈夫なんですかあ?」
「うん、こっちの世界ならきっと、たぶん被害少ないから。……それではあ、星川絵里奈の名曲を、ちょっとオバカな宇宙世紀アイドルのアサキちゃんが歌いむああす。♪ ずっちゃーらちゃちゃちゃちゃからりらりらりいいん、ちゃっちゃーらちゃちゃか、はい!」
「♪ ながれぼおしいぃぃキラキラァァァあああがくよおおおおおお ♪」
マイクに見立てた拳を突き付けられた瞬間、アサキの口から漏れて出たのは、歌といっていいのか、単なる唸り声というべきか。
「でたあ、殺人音波あああ!」
カズミはげらげらと笑いながら、両手で自分の耳を塞いだ。
「アサキちゃん、相変わらず強烈じゃけえね!」
治奈もだ。
楽しげな表情で、耳を塞いでいる。
「う、歌わせておいてそれは酷いよお!」
自分の歌のどこが悪いのか、まったく分からないけど、それだけに恥ずかしくて、アサ
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