第22節「騎士たちの想い」
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確実にレイアを直撃するだろう。
勝負あったか……と思われたその時だった。
「……お前の方こそ、大した自信だな」
「当然よ、俺様は兄弟の中で一番ド派手な男なんだからなァ!」
「フッ……本当にお前は面白い。だが、それもここまでだ」
レイアは今にも自分を叩き潰さんと迫る左腕に、一枚のコインを射出した。
コインは剛腕に突き刺さるも、それだけだ。
それから僅か、コンマ8秒後……
「ッ!?」
ピシッ、と小さな音が響いた。
レイアの鼻先で、巨岩掌はピタリと止まる。
やがて、音はどんどん大きくなり、ロックアームズは罅割れていった。
「俺様のロックアームズが……!」
「私がただ、いたずらにコインをばら蒔いていただけだと思っていたようだな」
「何度も同じ場所ばっか狙われりゃ、いくら頑丈だろうがぶっ壊れる。派手に陽動して、その実もっと派手な事企んでやがったとはな。やるじゃねぇか……」
残る右腕も破壊せんと、レイアはコインを構える。
狙いを定めようと視線を向けて──彼女は思わず目を剥いた。
「なら、俺様はもっとド派手な花火を打ち上げてやらなきゃなぁッ!!」
いつの間にか、右腕は剛腕から大砲に形を変えていたのだ。
「それは……ッ!?」
「お前のコイン、改鋳させてもらったぜェェェッ!!」
レイアを突き飛ばし、後方へと下がるゲノモス。
金貨を鋳溶して作り出された弾丸を装填し、砲口は灼熱を帯びて輝く。
〈メタルフォイア〉
避けることは不可能だと悟ったレイアは、咄嗟に防御の姿勢を取る。
一瞬の後、戦場にはとてつもない轟音が鳴り響いた。
ff
ファラとシルヴァの戦闘は拮抗していた。
舞うような足運びから繰り出される剣戟はとても優雅でありながら、打ち合う度に空気を震わせる。
2人の戦う姿はまるでデュエットのようで、この場に傍観者がいたならばきっと見入ってしまったであろう。
「見事な剣技ですわね。得物がステッキなのがもったいないですわ」
「貴女に刃物を向けるなど、滅相もございません」
「まあ。それはどちらの意味で?」
「お好きな方に受け取ってください」
微笑みを向けながら小粋な冗句を挟む。
それでいながら2人の目は真剣そのものだ。
ファラは、錬金術で発生させた竜巻と共に大剣を振るう。
卓越した剣技と共に放たれる疾風は大気を裂き、真空波となって何度もシルヴァを襲った。
対するシルヴァもまた、裂風と共にトネリコの杖を振るう。
何の変哲もない杖のようでありながら、しかしてその切っ先は風に乗って飛んできた木の葉を真っ二つに切り裂く鋭さである。
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