敢闘編
第五十話 第五次イゼルローン要塞攻略戦(中)
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「昨日のラインハルト様の発言が気になりまして」
私も参謀任務に就いているが、佐官のラインハルト様と尉官の私とでは任務の内容が違う。ラインハルト様が直接司令官…ヒルデスハイム伯爵中将を補佐するのに対し、私の任務は雑務―艦隊司令部の庶務、雑務の所掌、統括―だ。だから常にラインハルト様の側に居る、という訳にもいかない。だが同じ艦橋勤務ではあるから、昨日のラインハルト様の発言も当然ながら耳にしていた。
“敵の動きが不自然です”
私に割当てられている制御卓を操作し、ラインハルト様達と同じ様に戦況概略図を開く。……確かに不自然かもしれない。叛乱軍が何を企図しているかは分からないが、最後尾が一度も動かないのは妙だ。
「聞こえていたか。危惧が当たらない事を祈るばかりだ」
「はい。私も戦況概略図を見て、不審に思いました。それで概略程度ではありますが過去の要塞防衛戦を調べてみたのです」
「何か分かったのか」
「敵も指揮官が変われば攻め方も変わると思うのですが、膠着状態になり手詰りになる…の繰り返しです。今回の同盟軍もそうです」
「能のない奴等だ…過去の戦いを見れば膠着状態になるのは目に見えているのにな。俺ならイゼルローン要塞の様な要塞天体を作ってぶつけるがな。人命も無駄に失なわずに済むし、結果として安上がりだ」
「ぶつける…確かに帝国軍の上層部は想定していないでしょうね…まあそれはともかく話を戻しますと、確かに今回も膠着状態には違いませんが、今回に関してはあらかじめ膠着戦に持ち込む事を企図している様な印象を受けます」
「…そこだ。敵は後衛の艦隊を動かさずに前衛艦隊だけで戦っている。兵力は向こうの方が上なのだから、要塞主砲の射程圏外で戦う限り後衛の艦隊が前線に参加すれば余程楽に戦えるし、早めにけりをつけられる。それをしないというのは、何かを企んでいるとしか思えない。もしそれかこちらの想定外の手段なら、並の指揮官では対応は難しいだろうな。俺としては敵は並行追撃を目論んでいると思うのだが…」
「はい…」
ラインハルト様は組んだ右手を顎にあてて何事か考えている。私の言った事が何か参考になればいいのだが…。
「敵の指揮官は確か宇宙艦隊の司令長官代理だったな」
「はい。フェザーン経由でもたらされた情報ではシドニー・シトレ大将、病気療養中の現職の司令長官の代理に任命されたと。そのまま代理の文字がとれる予定だそうです」
「…一時的な代理ではなく指揮を引き継ぐとなれば、自分が指揮する初の作戦で負ける訳にはいかないだろう。その初戦で要塞攻略戦を行うとは、立てた作戦に余程自信があるのだろうな」
「はい…。攻守のバランスが高い次元でとれた有能な指揮官だそうです」
「適材適所の人事、という事か」
「はい…それと気になる人物が司令部中枢に配置
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