暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第125話:獣と堕ちる
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お前に何かあったら俺がキャロルに怒られる」
「嬉しいくせに」
「まぁな。しっかし、あれどうしたもんかね」
ハンスとガリィが見ている前で、マリアは自分の上に倒れた木を片手で持ち上げて立ち上がった。マリアはその木をハンス達に向けて放り投げ、その後を追う様にして駆け出した。
「よっ!」
飛んできた木をハンスがゴミを払う様に腕で弾き飛ばした。その隙に接近したマリアが爪の様に伸ばした指でハンスを切り裂こうとするも、その前に躍り出たガリィがマリアの顔を掴んで動きを止めた。
「そんな無理くりじゃなくってさ…………歌って見せろよ! アイドル大統領!!」
ガリィはそのままマリアの顔を掴んで振り回し地面に叩き付けた。
「姉さん!?」
地面に叩き付けられた際の衝撃でマリアの姿は土煙により見えなくなる。セレナが心配する前で、突如今度はマリアの倒れた場所から光の柱が立ち上った。それが消えるとそこには、気を失ったのか倒れてピクリとも動かないマリアの姿があった。
「やけっぱちで強くなれるなどと逆上せるな!」
ガリィはマリアの顔を掴んだ右手をハンカチで拭いながら吐き捨てる。
だが次の瞬間、ハンスがガリィの体を掴んで押し倒す様にその場に伏せた。
「ガリィ!!」
「え? わっ!?」
突然押し倒されて何が何だか分からないと言う顔をするガリィの眼前を、魔力の閃光が突き抜ける。
それはガルドがキャスターガンランスを砲撃モードにして放った一撃だった。マリアがハンスとガリィの注意を引いている間に体力を回復させた彼は、静かに槍を砲撃モードに切り替えガリィかハンスに隙が生まれる瞬間を待っていたのだ。
しかしガルドの一撃はギリギリのところでハンスに気付かれ、砲撃はガリィの鼻先を掠める程度に留まった。自分があと一歩のところでお陀仏だった事を悟ったガリィは、顔を引き攣らせながら立ち上がった。
「あ、危ない危ない……助かったわハンス」
「お前をこんな事で失う事になったらそれこそキャロルに殺される。それより、ここは退こう。他の連中も集まって来た。時間切れだ」
遠くを見ればこちらに向かってくる響とクリス達の姿が見える。反対側をみれば、そちらからは切歌と調が向かってきていた。恐らくその後ろからは翼と奏も来ているのだろう。
この状況にガリィは大きく溜め息を吐いた。
「はぁ〜……アホくさ。所詮外れ装者は外れ装者か、ガッカリだ」
ガリィはテレポートジェムを地面に叩き付け、ハンスと共に姿を消した。
敵が居なくなったことを確認すると、ガルドが周囲を警戒しながらマリアへと近付いていく。近くで見れば、マリアの体は至る所に傷を作っていた。
「マリア、おいマリア! しっかりしろ!」
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